カマラ・ハリス米副大統領は27日、アフリカン・メソジスト監督(AME)教会の総会にビデオメッセージを寄せ、新約聖書のルカによる福音書を引用しながら語った。AME教会は、会員の多くが黒人のいわゆる「黒人教会」の教団で、所属教会数は約7千、会員数は約250万人とされる。
民主党の大統領候補であるハリス氏はビデオメッセージ(英語)で、AME教会が会員らに対し、大統領選で投票するために必要となる有権者登録をするよう促す努力をしていることを称賛した。
「投票のために人々の心を整え、会員が有権者登録し、投票の準備ができていることを確認する――。これはもちろん、私たちの生涯で最も重要な選挙であることを、誰もが知っているからです」
ハリス氏は、米国は「私たちの国の将来について、2つの非常に異なるビジョンの間の選択」に直面していると指摘。自身の選挙キャンペーンは「将来に焦点を当てている」のに対し、共和党候補であるドナルド・トランプ前大統領のキャンペーンは「過去に焦点を当てている」と述べた。
「私たちは後戻りしません。どの子どもも貧困の中で育つ必要がなく、全ての高齢者が尊厳を持って引退でき、全ての人が家を持ち、ビジネスを始め、世代を超えた富を築く機会を持てる未来のために戦っているのです。手頃な医療費、手頃な育児費、有給休暇、そして礼拝の自由を含む最も基本的な自由と権利が守られる未来のためにです」
ハリス氏はさらに、ルカによる福音書を引用。信仰には「暗闇と死の陰に座している者たちを照らし、我らの歩みを平和の道に導く」(同1章79節)力があると述べた。「このような時、信仰は私たちを前へと導いてくれるのです。自由、機会、そして正義という米国の約束に対する信仰、一部の人のためではなく、全ての人のための約束に対する信仰が」
AME教会の総会は4年に1度開かれる。第52回となった今総会は、21日から28日まで、オハイオ州コロンバスのコンベンションセンターで開催された。
総会議長のジェームズ・L・デイビス監督は、総会のあいさつ文(英語)で、次のように述べていた。
「私たちは今、私たちの教会と世界の歴史において決定的な瞬間にいます。全人類のための解放と社会正義の主体としての神のご計画に対する私たちのエネルギー、熱意、献身の結集が、この旅の次の段階に向けて、教職者と信徒に力を与え、成長させるための変革の再構築につながることを願っています」
「神が私たちの手に置かれた教会を、人類家族の全ての構成員を受け入れるために、神が望まれる方向に導く知恵と勇気を与えてくださいますように」
ハリス氏は、ジャマイカ出身の父とインド出身の母を両親に持つ。2021年に副大統領に就任した際は、女性、黒人系、アジア系で初の副大統領として注目を集めた。
黒人有権者は米国の人口の15パーセント弱を占め、歴史的に民主党支持者が多い。しかし、近年は民主党離れの傾向が指摘されている。