カトリック長崎大司教区は、今年のノーベル平和賞の受賞者が日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)に決まったことを受け、「核なき世界に向けての素晴らしい希望あるニュース」と歓迎するメッセージ(10月22日付)を発表した。
大司教区は、現在世界では核兵器の近代化・小型化などが進み、核兵器の使用が一段と現実味を帯びていると指摘。そうした中、被爆者が諦めることなく命懸けで被爆の実相を世界に訴え続けてきたことの結実が今回の受賞だとし、全ての被爆者に敬意と感謝を表するとした。
その上で、2010年に米ニューヨークの国連本部で「核兵器と人間は共存できない。どんな理由があろうとも絶対に使ってはならない」と訴えた、長崎の被爆者で日本被団協の代表委員などを務めた故谷口稜曄(すみてる)氏のスピーチを引用。さらに、ローマ教皇フランシスコが19年の来日時に語った言葉「核兵器の保有は、それ自体が倫理に反します」を伝えた。
また、日本被団協が1956年に長崎で結成されたことに言及。カトリック教会も、日本の2つの被爆地にある長崎大司教区と広島教区、また核兵器の実験や製造などによる被害地にある米国のサンタフェ大司教区とシアトル大司教区の4つの教区が協力して、昨年8月9日に同じく長崎で「核兵器のない世界のためのパートナーシップ」を設立したことを述べた。
その上で、核なき世界を目指して、被爆者と共に歩むことを改めて決意すると表明。日本や核保有国の核兵器禁止条約への署名・批准に向けて働きかけていくとした。
メッセージは、1981年にローマ教皇として初めて来日し、広島で行った平和アピールで「戦争は人間のしわざです」と語った先々代の教皇ヨハネ・パウロ2世の記念日である10月22日に合わせて発表された。