イスラム組織「ハマス」が昨年10月7日にイスラエルを急襲し、1200人近くを殺害、250人以上を人質に取ってから間もなく1年となる。イスラエルはその後、ハマスの壊滅を掲げ、ハマスが実行支配するパレスチナ自治区ガザ地区に侵攻。ガザ地区では、4万人を超える死者が出ている。
この泥沼の戦争が始まって1年になるのを前に、ローマ教皇フランシスコは2日、10月7日を平和のための祈りと断食の日にするよう呼びかけた。
カトリック教会のトップである教皇はこの日、バチカン(教皇庁)のサンピエトロ広場で行われたシノドス第16回通常総会・第2会期の開会ミサで、10月7日を断食と祈りの日とするよう呼びかけた。
教皇庁の公式メディア「バチカン・ニュース」(英語)によると、教皇は「私たちの歴史のこの劇的な時期にあって、戦争の風と暴力の火が民族と国家全体を荒廃させ続けている間、(キリスト教共同体は)人類への奉仕に身を置くべきだ」と述べた。
教皇はまた、前日6日にはローマの聖マリア大聖堂を訪問し、平和のために「心からの請願を行う」ことも明らかにした。教皇は「共に歩みましょう。主に耳を傾けましょう。そして、聖霊の風に導かれましょう」と呼びかけた。
教皇が戦時下にある地域のために断食と祈りを呼びかけるのは、今回が初めてではない。2013年にはシリアのために、17年にはコンゴ民主共和国(旧ザイール)と南スーダンのために、それぞれ断食と祈りを呼びかけている。
教皇は9月末には、イスラエル周辺地域の即時停戦と、ガザ地区に残された人質の解放、またガザ地区の人々への人道支援物資の配布を呼びかけている。
ハマスは昨年10月7日、ガザ地区からイスラエル南部に越境し一斉攻撃を仕掛け、多くの外国人を含む1200人近くを殺害し、250人以上を人質に取った。
イスラエルの公式発表に基づくAFP通信の集計によると、ハマスは251人をガザ地区に連れ去り、このうち9月23日時点で117人が解放されたが、70人が死亡。64人が依然として拘束されている。
これに対し、イスラエルは空爆で反撃し、その後、ハマスの壊滅と人質の解放を目的にガザ地区への地上侵攻を開始。戦闘の多くが人口密集地で行われているため、多数の民間人が死亡したり、避難したりしている。
ハマスが運営するガザ地区の保健省の発表によると、同地区ではこの戦争により、8月までに4万人以上が死亡した。ただし、この数字は非武装の民間人と戦闘員を区別していない。
さらに、イスラエルは9月末、イランの支援を受けるレバノンのイスラム教シーア派組織「ヒズボラ」に対する本格的な攻撃も始めた。空爆により、既に最高指導者のハッサン・ナスララ氏を含む幹部多数を殺害しており、レバノン南部に対する限定的な地上侵攻も行われている。
ヒズボラは昨年10月7日以降、ハマスに連帯してイスラエルに対する攻撃を継続的に行っており、イスラエル北部では住民が避難を余儀なくされていた。イスラエルは住民の帰還のため、レバノン南部からヒズボラを掃討することを目標に掲げている。