パレスチナ自治区ガザ地区のキリスト教コミュニティーは、同地区を実効支配するハマスとイスラエルによる戦争が昨年10月に始まって以降、最も厳しい状況に直面しているが、信仰を強く保ち、苦難の中でも励ましを得ているという。
ガザ地区の匿名希望の関係者は、同地区などで活動するカトリックの慈善団体「エイド・トゥー・ザ・チャーチ・イン・ニード」(ACN、英語)に次のように語った。
「人々は、小さな箱いっぱいの食料を手に入れるために何時間も歩いています。しかし、この厳しい食事環境の中、分かち合いは日常生活の一部となり、彼らの新しいキリスト者としてのアイデンティティーとなっています」
ACNはローマ教皇庁直轄の団体で、毎年数千のプロジェクトを行い、困難な状況下にある人々に緊急支援を提供している。イスラエル・パレスチナ地域ではこれまでに、生活手段を失った3448人のキリスト教徒に対し、食券や医薬品、住居費、学費援助などの緊急支援を提供してきた。
現在は、ラテン典礼エルサレム総大司教庁がガザ地区のキリスト教徒一人一人に週2食の食事と2日に1回のパンを提供できるよう、他の組織を通じて支援を行っている。
関係者によると、支援者がガザ地区で直面している最大の課題の一つは、清潔な水へのアクセスを提供することだという。現在、同地区では水不足が病気の蔓延を引き起こしている。
「トイレや衛生設備用の汚れた水はありますが、(飲料)水は伝統的な方法で浄化しています。子どもたちは吐き気や下痢を引き起こすウイルスに苦しんでいます。高齢者の中には深刻な病気に直面している人もいて、すぐに入院する必要がありますが、現時点では不可能です」
このような困難な状況にもかかわらず、地元のキリスト教コミュニティーは神の恵みの中、互いに助け合うために働いている。現在、18歳以下の子ども120人と、65歳以上の高齢者84人を含む500人余りのキリスト教徒が、ガザ地区唯一のカトリック教会である聖家族教会に避難しており、司祭1人と修道女7人によってケアされている。
ACNによると、教会に避難している人々は、激しい軍事衝突と砲撃の脅威にさらされる中、毎日ミサに参加し、カテキズム(教理問答)による教育を受けることができているという。
また、建物が爆撃を受けたため聖家族教会の敷地内に移転せざるを得なくなった聖トマス・アクィナス・カトリック・センターのスタッフの支援により、子どもたちのための活動が企画され、祈りによるトラウマの癒やしを提供する集会も行われている。
聖家族教会の敷地内に修道院があるロザリオ修道女会の修道女ナビラ・サレハさんは、「この戦争が終わるように、私たちのために、そして全住民のために祈ってください」と、平和のための祈りを呼びかけている。
また、ACNの現地の関係者は、次のように話している。
「(教会に避難している人たちは)皆疲れ切っています。誰も彼らが経験していることを、本当に経験することはできません。しかし、神の恵みによって、子どもたちは今、以前にも増して信仰に近づいています。とても特別なイースターです。私たちは、十字架につけられた救い主に、かつてないほど近づいているのです」