日本福音同盟(JEA)社会委員会(児玉智継委員長)は30日、イスラエルとパレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織「ハマス」の間で続く紛争に対する声明を発表した。
声明は、紛争の発端となったハマスによる10月7日の大規模な奇襲攻撃について、「(ガザ地区の)日常的な封鎖と攻撃に対する我慢の限界であり、イスラエルとサウジアラビアの歴史的な和平合意に対する反発」だとする分析があることに言及。しかしそれでも、「ハマスの残虐な行為を決して容認することはできません」と批判。また、「ハマスが多数の人質を奪ったことも許されることではありません」と述べ、多くの市民や外国人を含む約1200人を殺害し、240人以上を人質として拉致したハマスの行為を糾弾した。
一方、ハマスの奇襲攻撃を受け、イスラエルがガザ地区に対して行っている報復攻撃については、「『自衛』の範疇(はんちゅう)を著しく逸脱するものです」と指摘。「日常的に住民の自由と人間の尊厳を奪う占領は、武器を使う暴力とはかたちも質も違いますが、暴力だといえます。また、病院などの空爆は国際人道法違反であり、蛮行といわざるを得ません」と批判した。イスラエル軍の攻撃を受けるガザ地区では、30日までに人口の約1パーセントに当たる2万1600人以上が死亡しており、その多くが18歳以下の子どもだとされている。
声明はその上で、「暴力で社会を動かそうとしたハマス側も、暴力でパレスチナを抑え込んできたイスラエル政府側も、その不正義の歴史を認めて悔い改め、歩み寄ることがなければ平和が訪れることはないでしょう」と主張した。
その一方で、「イスラエル・パレスチナ問題は、欧米をはじめとした各国の自国中心的かつ欺瞞(ぎまん)的な外交政策がもたらした結果」だとも指摘。「私たちもその国際社会の一員であり、この問題を放置してきたことを認め、その解決のために祈る者でありたいと思います」と続けた。
最後には、イスラエルとハマスの双方に対し、全ての人命を守るため、全ての人質の解放と全ての戦闘行為の即時停止を強く要望すると表明。その上で、「『平和の君』である主イエス・キリストの『剣をさやに収めなさい』(ヨハネ18:1)、『やめなさい。そこまでにしなさい』(ルカ22:51)の教えに従い、イスラエル・パレスチナの平和のために祈り続けていきます」とした。