エルサレムや周辺地域の教会指導者らが、イスラエルのイツハク・ヘルツォグ大統領と会談し、パレスチナ自治区ガザ地区で行われている戦争の「即時かつ恒久的な人道的停戦」を訴えた。
ヘルツォグ氏と会談したのは、正教会のエルサレム総主教セオフィロス3世、アルメニア使徒教会のエルサレム総主教ヌールハン・マヌーギアン、カトリック教会のラテン典礼エルサレム総大司教ピエルバッティスタ・ピッツァバッラ、同教会の聖地守護者であるフランチェスコ・パットン神父ら。
この他、メルキト・ギリシャ典礼カトリック教会、エチオピア正教会、コプト正教会、シリア正教会、エルサレム中東聖公会、ヨルダン聖地福音ルーテル教会、マロン典礼カトリック教会、シリア典礼カトリック教会のイスラエル・パレスチナ地域の代表者らが出席し、イスラエルのモシェ・アルベル内相も同席した。
指導者らは、ヘルツォグ氏との会談は「単なるクリスマスシーズンの歓談の場」ではないとし、「世界中のキリスト者を代表して、ガザ地区における流血の即時停止を要求する世界的な教会の姿勢を伝える」目的で行われたと強調。その上で、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区の「特にクリスマスシーズンのベツレヘム周辺」における市民の窮状と移動制限について懸念を表明した。
会談はクリスマス前の21日に行われた。一方、その2日後の23日には、エルサレムの教会指導者らでつくる「エルサレム総主教教会長会」が、会談に関して、イスラエルの「政治的な動機を持った」一部のメディアによる歪曲した報道があったと批判する声明(英語)を発表した。声明は、一部のインフルエンサーがこれらの報道を用いて、「会談とその目的に関して完全な偽り」を伝えたとし、次のように述べた。
「エルサレム総主教教会長会は、ガザ地区に対する戦争が始まって以来一貫しているメッセージを(会談で)繰り返しました。それはすなわち、即時かつ恒久的な人道的停戦、市民の保護、市民にサービスを提供する機関の保護です。われわれは、この姿勢が会談の核心であり、この枠組みを外れた議論は、キリスト者と教会のイメージを汚すことを目的としており、教会の関与や対処を控えさせようとする政治的意図に基づくものだと強調します」
教会指導者らは、イスラエルとガザ地区の戦争によって引き起こされた「想像を絶する苦しみ」を嘆く合同のクリスマスメッセージ(英語)の中でも、平和への訴えを繰り返した。
「われわれエルサレム総主教教会長会は、2千年以上前にここベツレヘムでお生まれになった平和の君、われらの主イエス・キリストの名において、世界中の信者にクリスマスのあいさつを伝えます。このようなあいさつを申し上げるに当たり、われわれは、主がお生まれになった地が大きな災難に見舞われている最中にこのようなあいさつを申し上げていることをよく承知しています。過去2カ月半以上にわたって、戦乱の暴力は、われわれの愛する聖地の文字通り何百万もの人々に想像を絶する苦しみをもたらしてきました」
「その現在も継続中の恐怖は、われわれの地域全体の無数の家族に悲惨さとやり場のない悲しみをもたらし、地球のあらゆる方面から苦悩の共感的な叫びを呼び起こしています。このような悲惨な状況の渦中にある人々にとって、希望は遠く、手の届かないもののように見えます。しかし、そのような世界に、われわれの主ご自身が希望を与えるためにお生まれになったのです。ここでわれわれは、最初のクリスマスが、今日とそう変わらない状況であったことを思い出さなければなりません」
一方、ヘルツォグ氏は会談で教会指導者らに対し、ガザ地区を実効支配するイスラム組織「ハマス」による残虐行為はイエスの教えとは相いれないものだとして、次のように語った。
「最もひどい悪の勢力が、野蛮でサディスティックな攻撃を行い、罪のない女性、子ども、老人、若者、40カ国もの人々を殺し、人質を取り、レイプし、首を切り、人を燃やし、その他にもいろいろなことを行いました。このようなことは、福音書、福音書の記述、イエス・キリストの教え、ユダヤ教の教え、そして穏健なイスラム教とは相いれません」
「われわれ皆の問題は、あなたがたにもわれわれにもなじまない極端なイスラム原理主義にあります。それはテヘランからにじみ出る悪の帝国の表れであり、聖戦主義イデオロギーを信奉するもので、われわれはそれを根絶しなければなりません。だからこそ、この戦争はわれわれに強いられたのです」