ロシアがウクライナに軍事侵攻してから2年となった24日、「ウクライナのための宗教間合同祈祷会」が日本聖公会聖オルバン教会(東京都港区)で開かれた。同教会で礼拝をささげている在日ウクライナ正教会「聖ユダミッション」が主催した。祈祷会では、聖公会、カトリック教会、ウクライナ正教会の代表者のほか、浄土真宗の僧侶も参加し、ウクライナのために祈りをささげた。
司会をした在日ウクライナ正教会委員会のオクサーナ・ピスクノーヴァ会長は、現在の戦争は、ロシアがクリミア半島を一方的に併合した2014年から始まったとする認識を示した上で、この期間は「一言で言えば、生きている心地がしなかった」と吐露。その一方で、ウクライナ人同士がより団結したのも確かだとし、日本を含めた国際社会からの継続した支援を求め、「みんなでウクライナの勝利のために力を合わせていきましょう」と話した。
祈祷会では、シチェドリク合唱団がウクライナの民謡「シチェドリク」など2曲を披露。また、ウクライナ人の夫を持つピアニストの成田瑞季さんが、ウクライナの愛国歌として知られる「赤いカリーナは草原に」など2曲を演奏した。
シチェドリクは「鐘のキャロル」の意味。第2次世界大戦下のウクライナとポーランドを舞台にした映画「キャロル・オブ・ザ・ベル」は、この曲の英名がタイトルとなっている。映画は戦時下のウクライナで昨年1月に上映され、大ヒットを記録。日本でも昨年7月に上映された。映画では、この曲を歌えば願いがかなうと信じて歌い続けるウクライナ人の少女が登場する。シチェドリク合唱団は、「私たちもウクライナがきっと平和になると信じて歌いたい」と言い、男女4人の混声で届けた。
聖公会からは、聖オルバン教会のマイケル・モイアー司祭が祈祷。聖公会の祈祷書を用いて、平和に関する2つの祈りをささげた。清泉女子大学の松井ケティ教授は、カトリック系の同大で昨年12月、ウクライナに関するシンポジウムやチャリティーコンサートが開催されたことを紹介。ウクライナの人々に寄り添う思いを伝え、祈りをささげた。
聖ユダミッションのポール・コロルク長司祭が導いた祈りでは、参加者も起立して共に祈り、心を一つにした。最後には、ウクライナの作曲家ミコラ・リセンコが作曲し、ウクライナの国家行事などでも歌われる賛美歌「ウクライナへの祈り」を参加者全員で歌った。