バチカン(ローマ教皇庁)福音宣教省は21日、2025年に大阪市で開催される「2025年日本国際博覧会」(大阪・関西万博)にバチカンが参加することを、ホームページで正式に発表した。
バチカンのパビリオンは「美は希望をもたらす」がテーマ。イタリアのパビリオン内に開設される。
教皇フランシスコは、バチカンのパビリオンの館長に、同省世界宣教部門副長官のサルバトーレ・フィジケッラ大司教を任命。フィジケッラ大司教は、サン・サルバトーレ・イン・ラウロ教会(イタリア)のピエトロ・ボンジョバンニ主任司祭とカトリック玉造教会(大阪カテドラル聖マリア大聖堂)のヌノ・リマ主任司祭を、副コミッショナー・副館長に任命した。
同省は、テーマの中で掲げる「美」について、「美は常にキリスト教宣教で重要な役割を果たしてきました。キリスト教が始まって以来、それは芸術表現を通して具現化されていきました。世紀を経て、芸術は教会が信仰の深さを表現し、象徴するための特権的な手段となりました」と説明。パビリオンでは、「展示、芸術的な造形、ユニークな視点を通じて、精神的な刷新を分かち合う未来へと歩む人々を結びながら、美がいかにして希望の触媒となり得るのかという考察を提供します」としている。
大阪・関西万博が開催される2025年は、カトリック教会が25年ごとに開催する「聖年」にも重なる。この年の聖年のテーマは「希望の巡礼者」。パビリオンのテーマはこれと関連するもので、両イベントを結ぶ役割を持つ。
フィジケッラ大司教は、「現代人は科学と技術の進歩によって多くの希望を抱いています」と強調。その一方で、「しかし、聖年のテーマに表されているように、万博のテーマもまた、神からのみ来る唯一の希望の重要性を伝えたいと思っています。人類はまだ希望を抱く必要があるからです」と話している。
大阪・関西万博は、2025年4月13日~10月13日に、大阪湾に浮かぶ人工島「夢洲(ゆめしま)」を会場に開催される。テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。また、「いのちを救う」「いのちに力を与える」「いのちをつなぐ」の3つのサブテーマを掲げている。
バチカンの参加については、日本の外務省が既に今年3月、公式に参加表明した国の一つとして発表していた。外務省のホームページによると、11月14日時点で公式に参加表明している国・地域は160、国際機関は9となっている。
今月19日には、イタリアのパビリオンの起工式が、参加国が自前で建設するタイプのものとしては初めて行われた。
一方、大阪・関西万博を巡っては、資材価格の高騰や労務費の増加などで会場建設費が、当初の1250億円から約1・9倍の最大2350億円にまで膨れ上がると試算されている。また、パビリオンの建設も遅れており、国外のパビリオンで2023年内に着工する国はゼロと伝えられている。