3月に発表されていたローマ教皇フランシスコによる使徒憲章「プレディカーテ・エバンジェリウム(福音を宣〔の〕べ伝えなさい)」が5日に発効し、バチカン(教皇庁)の組織再編が行われた。先々代の教皇ヨハネ・パウロ2世による使徒憲章「パストール・ボヌス(良き羊飼い)」(1988年6月発表、89年3月発効)以来、33年ぶりとなる大型の組織再編。バチカン・ニュース(英語)は、教皇フランシスコによる「約10年にわたる改革の道のりが今、達成された」と、その意義を伝えている。
バチカン・ニュースによると、使徒憲章「プレディカーテ・エバンジェリウム」は、第2バチカン公会議(1962~65年)の精神を受け継ぎ、福音宣教と一般信徒の役割に重点を置いている。今回の組織再編では、筆頭省が「教理省」から「福音宣教省」に変わり、教皇自らが福音宣教省のトップに就くなど、福音宣教に力を入れる姿勢を示している。
新組織は大きく、1)国務省、2)省、3)法務機関、4)財務機関、5)部局、6)弁護士、7)聖座関連機関の7つに分類される。これまで11あった評議会は、一部はすでに統廃合されており、残りも今回、統廃合あるいは単一で省となり、省の数は9から16に増えた。また、これまで「関連機関」に分類されてきた教皇慈善活動室は「教皇庁支援援助省」として、省に昇格した。
新組織における省は、福音宣教、教理、教皇庁支援援助、東方教会、典礼秘跡、列聖、司教、聖職者、奉献・使徒的生活会、いのち・信徒・家庭、キリスト教一致推進、諸宗教対話、文化教育、総合人間開発、法制、広報の計16省。
評議会の統廃合は以下の通り。
- 信徒評議会 → いのち・信徒・家庭省
- キリスト教一致推進評議会 → キリスト教一致推進省
- 家庭評議会 → いのち・信徒・家庭省
- 正義と平和評議会 → 総合人間開発省
- 開発援助促進評議会 → 総合人間開発省
- 移住・移動者司牧評議会 → 総合人間開発省
- 保健従事者評議会 → 総合人間開発省
- 法文評議会 → 法制省
- 諸宗教対話評議会 → 諸宗教対話省
- 文化評議会 → 文化教育省
- 新福音化推進評議会 → 福音宣教省
使徒憲章「プレディカーテ・エバンジェリウム」は現在、バチカンのホームページでイタリア語のみで公開されているが、日本のカトリック中央協議会のホームページでは、新組織における各機関の名称などがイタリア語と日本語で掲載されている。