パレスチナ自治区ガザ地区北部で活動するカトリックの修道女たちは、イスラエルが地上侵攻を前に同地区南部への退避勧告を出す中、現地にとどまり、高齢者や障がい者ら避難できずにいる人たちを支援し続ける決意でいる。
ガザ地区北部で活動する「ロザリオ修道女会」のシスター・ナビラは、カトリックの慈善団体「エイド・トゥー・ザ・チャーチ・イン・ニード」(ACN、英語)に対し、「(同地区では)多くの病院が破壊され、人々は医薬品を必要としています」と語った。
「私たちは(同地区南部へは)行きません。人々は何も必要な物すら持っていません。私たちはどこへ行けばいいのでしょうか。路上で死ぬのですか。マザー・テレサのシスターたちもここにいて、複数の障がいを持つ人々や高齢者がいるのです」
修道女たちは、ガザ地区唯一のカトリック教会である「聖家族教会」の小教区内にある修道院にとどまっている。この修道院には、近隣に住むカトリック信者約150人とギリシャ正教の信者約350人が避難している。
聖家族教会の主任司祭であるガブリエル・ロマネッリ神父は、ガザ地区を実効支配するイスラム組織「ハマス」がイスラエルに大規模攻撃を仕掛けた際、用事でパレスチナ自治区ヨルダン川西岸のベツレヘムにいたため、自身の教会に戻れない状態が続いている。
ロマネッリ神父はACNに対し、何十万人もの人々がガザ地区南部へ避難し、食料と水の不足が蔓延する「悲惨な」人道危機を引き起こしていると指摘。「多くの信者は(避難せずに)とどまるしかありませんが、彼らは主に信頼を置いており、『イエスのもとにいれば安全だ』と信じています」と話した。
また、旧約聖書の哀歌3章26節「主の救いを黙して待てば、幸いを得る」を引用し、「それ故、彼らは共に祈り、主が彼らを守ってくださることを願い、平和のために働き祈っている人々が、常に平和のオアシスであった教会を攻撃するという決断を変えてくれることを願っているのです」と話した。