東京神学大学(東京都三鷹市)の元学生がプライバシー権を侵害されたなどとして、同大の芳賀力学長らに慰謝料400万円の損害賠償を求めた訴訟で、最高裁は15日、芳賀氏の上告を棄却した。これにより、プライバシー権の侵害を認め、芳賀氏に20万円の損害賠償を命じた判決が確定した(関連記事:元学生のプライバシー権を侵害、東神大学長に対する損害賠償命令確定 最高裁が上告棄却)。
判決が確定したことを受け、芳賀氏は本紙の取材に、元学生を非難する意図はなかったとしつつも、自身の発言がプライバシー権の侵害とされたことについて、「素直に申し訳ありませんと謝りたく思います」と述べ、謝罪した。
一方、問題とされた発言については、当時元学生からハラスメントを理由に提訴されていた大住雄一前学長が急逝したことを受け、学長代行として同大出身の牧師らに対し説明責任を果たそうとする中で出てしまったものだと説明した。
また、同大を巡る一連の訴訟については、「日本伝道という大きな課題を主から託されている私たちが、このようなことをいつまでも続けることは、果たして本当に御旨にかなったことなのでしょうか」と述べ、懸念を表明した。
芳賀氏から本紙に寄せられたコメント全文は以下の通り。
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ある後援会の終了後、牧師たち数名に残っていただき(ステークホルダーである本学を心配する牧師方ですので)、本学で起こったことに対して丁寧に説明をいたしました。元学生の方を非難するつもりは毛頭ありませんでした。しかし、その中の一部の発言がプライバシー侵害と判定されましたので、それについては素直に申し訳ありませんと謝りたく思います。
結果として1審の判決が支持されることになり、相手側の訴えのうち大半はこちらの主張が認められましたが、支払いが命じられた賠償金に関しては、司法の判断に従い、謝罪の思いを込め支払うつもりです。
大住雄一前学長がハラスメントで訴えられ、極度のストレスで倒れられた後、急遽(きゅうきょ)、学長の務めを引き受け、責任上、学内で起こっていることの説明責任を、ただただ同窓の牧師たちに果たすためだけに行ったことで、(それが当該者の関係牧師により秘密に録音されていて)裁判に訴えられるという思いもよらない経験をしました。
何よりつらいことは、日本に建てられた唯一の(日本基督教団の)教団立神学校が、このような裁判騒動によって揺さぶられることです。一致団結しなければならないこの時に、日本伝道という大きな課題を主から託されている私たちが、このようなことをいつまでも続けることは、果たして本当に御旨にかなったことなのでしょうか。