「東京神学大学の問題を考える会」(代表:松原和仁氏=日本基督教団富山鹿島町教会員)と同大元教授の関川泰寛氏(同教団大森めぐみ教会牧師)は13日、同大に対する処分または行政指導を求める申出書を永岡桂子文科相に提出した。
申出書は、同大学長の芳賀力氏に対して起こした元学生の訴訟の東京地裁判決と東京高裁判決(現在上告中)、芳賀氏に対して関川氏が起こした訴訟の東京地裁判決(現在控訴中)を受けたもの。いずれの訴訟もまだ確定していないが、現状の判決では、芳賀氏による一部の不法行為を認め、損害賠償の支払いを命じている。
申出書は、処分または行政指導を行うべき理由を述べるとともに、▽私立大学等経常費補助金取扱要領の規程に沿って、同大に対する補助金を減額すべきことを日本私立学校振興・共済事業団に通達すること、▽同大の理事会と評議員会で各訴訟に関する正確な報告が行われ、議事として扱うことを要求すること、▽同大の献金者・支援者に対する説明責任が十分に果たされていないことについて、指導し改善を要求すること――の3点を求めている。
元学生が起こした訴訟は、2019年10月に同教団静岡教会で開催された同大後援会による講演会後に、芳賀氏が牧師7、8人に対し元学生の入学試験や成績に関する発言をしたことはプライバシー権の侵害に当たるとし、東京地裁が21年12月、慰謝料20万円の支払いを命令。芳賀氏は控訴したが、東京高裁が22年7月に棄却。現在、最高裁に上告している。
関川氏が起こした訴訟は、17年11月と18年1月に芳賀氏が個人のブログに掲載した2つの記事(現在は削除)、20年3月に芳賀氏が同大事務職員13人に配布した文書の一部について、名誉毀損などによる人格権の侵害に当たるとし、東京地裁が22年6月、慰謝料30万円の支払いを命令。芳賀氏は現在、東京高裁に控訴している。
なお、元学生は、同大の別の教授と当時の学長からハラスメントを受けたとして、他にも訴訟を起こしていたが、訴えは認められず、東京高裁が22年1月、控訴を棄却。判決が確定している。
「東京神学大学の問題を考える会」と関川氏は申出書の中で、「大学の最高責任者である学長自らが、法令違反行為を犯したことが法的に認められた判決」だと強調。芳賀氏と同大が責任を負うべきことは明白だとしている。
一方、芳賀氏は本紙に、「元学生からの訴訟は上告中、関川氏からの訴訟は控訴中であり、いずれも判決は確定していません。確定していない判決については何も申し上げることはできません」とコメント。「訴訟が審理中であるため詳細は控えますが、申出書の内容には事実誤認があります。申出書を出すことは自由ですが、証拠のない意見表明はいかがなものでしょうか」と語った。