日本福音ルーテル教会(JELC)社会委員会(小泉基委員長)は、「敵基地攻撃能力でなく地域安定のための外交努力を求める要望書」(8日付)と、「原子力政策転換の撤回を求める要望書」(26日付)を政府に提出した。JELCのニュースブログで29日、明らかにした。
敵基地攻撃能力に関する要望書では、同能力の保有に反対を表明。同能力の保有は、憲法前文でうたわれている平和主義に反するものだとし、「かえって東アジアの平和を危険にさらすもの」だと批判している。
また、軍事費の増大は、増税や社会保障予算の削減を招き、かえって国民の生活を苦しめ、貧富の格差をもたらすと指摘。同能力の保有を認める防衛政策の転換を撤廃し、軍事費の増大ではなく、国民の暮らしのための予算を拡充させ、平和外交を目指すよう強く要望するとしている。
一方、原子力政策転換に関する要望書では、東日本大震災以後、「可能な限り(原発に対する)依存度を低減していく」としてきたこれまでの方針を、「休止中の原発の再稼働の加速、古い原発の運転期間延長、新型炉への建て替え促進」を柱とした方針に転換することに対し、反対を表明している。
従来の方針については、▽日本が地震大国である、▽原発が軍事攻撃目標となり得る、▽核廃棄物の問題解決の道筋が立っていない、などさまざまなリスクを前提とした理由のあるものだと指摘。これらのリスクは「一朝一夕に解決される」ものではなく、耐用年数40年で設計された原発を60年以上稼働させることは、「当初の設計を無視した愚行であって、老朽化した原発の事故リスクの増大は明らか」などと批判している。
その上で、「(原発)事故の惨禍から学んだ教訓を思い起こし、何が将来への責任を果たす道であるかを真剣に考えるべき」だと主張。政府が目指す原子力政策の転換を見直し、原発に頼らない新しいエネルギー政策へと踏み出すよう強く要望するとしている。