東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)でテロ対策に不備があった問題を受け、日本キリスト教協議会(NCC)は25日、「日本国民を一触即発の危機にさらすような原子力行政のモラルとセキュリティーの崩壊の事実を目の当たりにする思い」を禁じ得ないと非難し、菅義偉首相に対し原子力行政の抜本的見直しを求める声明を発表した。
柏崎刈羽原発をめぐっては、原発内にある複数の監視装置が故障し、代替措置の対策も十分に機能せず、昨年3月以降、外部からの不正な侵入を検知できない状態になっていた。これを受け、原子力規制委員会は16日、核物質防護などに関わる4段階評価のうち最も深刻なレベルに当たると判断。24日には、核燃料の移動を禁止するなど、事実上の運転禁止ともいえる是正措置を命じる方針を決めた。
声明は、昨年9月にも社員が他人のIDカードを使って中央制御室に不正入室していたことや、1月に完了したと発表していた7号機の安全対策工事で4件にも上る未完了工事が見つかったことにも触れ、「東京電力の核管理のセキュリティー体制が崩壊状態にあることをさらけ出すこととなった」と厳しく非難。「日本政府が一刻も早く、原発運転の中止と原子力行政を抜本的に見直し、原子力エネルギー政策の放棄を決断していくことを、ここに断固として訴える」とした。