東日本大震災から間もなく10年を迎える被災地の祈りに心を合わせてもらおうと、日本バプテスト連盟の東日本大震災現地支援委員会は17日、全国の教会・伝道所の関係者に向けて祈祷文「東日本大震災から10年を数えての祈り」を示し、今も不安な日々を過ごす被災者のために祈りを呼び掛けている。
祈祷文は、毎年3月11日に合わせて同委が作成しており、今年は大富キリスト教会(宮城県)の関係者が原案の作成を担当した。祈祷文では、地震と津波により、1万5899人の命が失われ、今も行方不明者が2526人、津波や原発事故によって避難を強いられている被災者が4万1781人に上ることに触れ、「10年たった今もそのぬぐえない恐怖と不安、痛み悲しみがあります。主よ、慰めと平安を与えてください」と求めた。
被災地では、かさ上げを伴った住宅整備、防潮堤や堤防の建設工事は進んでいるものの、一方で住民の生活や人とのつながりは分断され、それを元に戻すことは容易ではないとし、「主よ、まだまだつらい環境の中で苦しみ、頑張って生きている人々、そして頑張ることのできない人々に希望を与え、寄り添い歩んでください」と願った。
原発事故による被害については、拡散された放射性物質とたまり続ける汚染水が人々の暮らしに影響を与え続け、廃炉作業の先が見えない中、各地で原発再稼働の波が起こり、さらには原発廃棄物最終処分場の選定で混乱や分断が起ころうとしていると指摘。こうしたことに触れ、「この過ちを繰り返すことのないように、この現実から目をそらさず目を覚ましていられるように導いてください」と求める祈りをつづっている。
そして「10年前、あの現場の混乱と不安の中で、あなたの存在を見失ってしまう時もありました。しかし、そのような時にこそあなたは私たち一人一人に目をとめ共にいてくださったことを感謝します」とした上で、「全国各地、また世界で起こる新たな苦難の中で痛む人たちに心をとめ、あらためて地の塩、世の光として歩む教会の使命を確かなものとしてください」と願った。