東日本大震災の発生から満9年となった11日、東京都内近郊のキリスト者が教派を超えて震災の被災者を覚えて祈る「東日本大震災復興支援超教派一致祈祷会」がウェスレアン・ホーリネス教団淀橋教会(東京都新宿区)で行われた。震災発生1カ月後から絶やすことなく毎月11日に開催しており、108回目を迎えた。会場入り口にアルコール消毒液を設置するなど、新型コロナウイルスの感染防止策がとられる中、70人以上が集まり、被災地復興のために祈りをささげた。
祈祷会を主催する淀橋教会の峯野龍弘主管牧師は、「祈り続ける必要を痛感させられながら、この9年間来た」と振り返り、「被災地の方々の心の癒やし、真の復興が早く実現するよう祈らされるとともに、この祈祷会がなお継続されなければならない、その必要が大なのだということを今更のように思い、さらに祈り続けていきたい」と語った。
会場には有志のゴスペルシンガーらによる復興支援プロジェクト「Pray for All Japan」のメンバー8人が駆け付け、テーマソング「わたしを守る方」や「栄光の輝き」など4曲を賛美した。復興支援チャリティーCD「STAND TOGETHER」に楽曲を提供しているゴスペルシンガーの神山みささんは、「私たちは目の前の現実に支配されてしまう弱い者です。だからこそ、このすべてに勝利を収めるイエス様が必要だと思います。このイエス・キリストを信じて再び平安を取り戻し、今置かれている場所にしっかりと立って、イエス様の光を輝かす者になることができますように。今こそ輝くときです」と語った。
NPO法人「Fukushima いのちの水」代表理事の坪井永人牧師(単立・キリスト愛の福音教会=福島県郡山市)は、新型コロナウイルス対策として参加に伴う長距離移動を避け、事前収録の映像で福島の現状を伝えた。
「皮肉なことに、私が淀橋教会に行けない状況ほど、福島がこの9年間で経験していることを如実に皆さんに分かっていただけることはないのではないか」。坪井牧師はそう語り、福島県内における土壌の放射性物質濃度や児童の甲状腺がん発症率などの推移を調べた研究データを示しながら、今なお続く原発事故による被害の深刻さを強調した。
「Fukushima いのちの水」は震災発生直後の2011年5月から活動を始め、今では毎月70〜100トンにも上る安全な飲料水を2千人近い地元の子どもたちに手渡している。16年からは難民支援、19年からは県外の災害復興支援にも取り組んでおり、これらを「福島システム」と称して、「21世紀を涙のない世界にするため、積極的平和構築システムとして世界に拡散していきたい」とビジョンを語った。
「9年の月日の間、無我夢中で水を配っていたときに、神様はいつもそこにおられ、私たちの配る食料をご自分の体として子どもたちに与え、水をご自分の血潮として与えられました。数千人への聖餐の奇跡をこの目で見て、主はご自身の神の国をお建てになっておられると感じました」。坪井牧師はそう振り返った上で、「3・11は確かに、多くの人々に理不尽な災害でした。そして今私たちは、その理不尽がもたらした神の恵みの中で、新しい働きに出ていこうとしているのです」と語った。