日本聖公会は、5月28日から31日まで仙台で開催した「原発のない世界を求める国際協議会」で採択した声明を、実行委員会での微調整を終え、このほど公式ホームページ上に公表した。声明は、「これ以上原子力発電に依存する経済優先の社会を続けるべきではなく、そのためには節電・省エネに取り組むことはもちろん、再生可能エネルギーへの政策転換を行い、新たな道を歩むべき」とし、各教区に自然エネルギーによるモデル教会をつくるなど、原発のない世界の実現に向けた取り組みの具体化と実践を呼び掛けた。
声明は「原子力発電の問題をいのちの尊厳から捉えることが、極めて大切」と強調。「原子力発電は稼働する限り危険な放射性廃棄物を生み出し続けます」とし、「いのちあるものが生きる上での安全とは、危険な廃棄物をこれ以上増やさないということ」と指摘した。また、「原子力発電を考えるとき、『核兵器』と『原子力発電』は『一つのコインの裏と表』であり、その技術はいつでも核兵器への転用が可能であることを意味し、平和に生きる権利を脅かします」と主張した。
さらに、「(東京電力福島第1原発事故から)8年がたった今も深刻な影響が残る一方、時がたつにつれ被災された方々の痛みや苦難を忘れがちな私たちがいます」と指摘。具体的な取り組みを挙げ、「これらを通して原発のない世界を求める歩みを続けていこうではありませんか」と呼び掛けた。
声明にある具体的な取り組みは以下の通り。
- 東日本大震災がもたらしているさまざまな出来事を見つめ、証しし続けること。
- 原発事故が起きれば、取り返しのつかない事態になることを認識し続けること。
- 日本聖公会に「福島週間(仮称)」を創設し、“あの出来事” が語ることを聴き、学び、いのちを尊び、平和に生きる社会の実現へと歩み続けること。
- 脱原発のための国内外のネットワークを強化・充実させること。
- 未来を受け継ぐ次世代のために、原発による負の遺産をこれ以上残さないこと。
- 各教区に自然エネルギーによるモデル教会をつくり、方向性を指し示すこと。
- 各個教会が自然エネルギーへ転換するときの融資制度を、日本聖公会に設けること。
- 宣教の5指標の1つである「被造物の本来の姿を守り、地球の生命を維持・再生するために努力すること」に具体的に取り組むこと。