英国国教会ロンドン教区の元基金運営責任者が、詐欺とマネーロンダリングの罪で起訴された。この事件により、教区は2009年から19年にかけて、500万ポンド(約8億1千万円)の損失を被ったという。
教区は8日、「ロンドン教区基金」(LDF)の運営責任者だったマーティン・サージェント氏(52)が、「歴史的」な詐欺により起訴されたとする声明(英語)を発表した。
サージェント氏は、教区のサラ・マラリー主教が役職の見直しを求めたことで、19年から教区を離れている。教区は声明で次のように述べている。
「当時は犯罪の疑いや証拠はありませんでしたが、昨年、ある小教区が資金を受け取っていないとする懸念を表明したことから、LDFはロンドン警視庁の不正報告センターおよびチャリティー委員会(英国の非営利団体監視機構)に、重大事件として報告しました」
マラリー主教は、次のように述べている。
「LDFはこの1年、警察と精力的に協力してきました。事件に関連する資金の総額は500万ポンドに上ると見られ、多くの組織に影響を与えています」
「今回の事件は、彼を知っているすべての人、また彼と共に働いていたすべての人の信頼に対する全面的な裏切りです。サージェント氏は、個人的な利益のために彼の立場を悪用したのです」
一方、教区はこの不正事件について、共通基金や主教に関する費用、小教区の現在の資金調達とは全く関係がないとした。
LDFの監査リスク委員会のリチャード・ペリー委員長は、警察の捜査に協力し、詐取された資金を確保するために、できる限りのことをすることが優先事項だとして、次のように述べた。
「われわれの独立監査員らが、現在の財務統制について緊急に見直しを行い、統制が強固なものであることを確認しました。次回の独立調査では、LDFの評議員への報告や、何がどのように起こったのかの調査、そして事件解決後の将来のためのさらなる勧告が行われる予定です」