効果的な宣教の仕組みを求めて創設したブレス・ユア・ホーム(株)の働きは、約8年の探索期間を経て、仕組みを構築する段階に移行してきました。以前から有効な働きを見いだしていたのですが、ようやく宣教拡大への道筋が明らかになったと考えています。
弱さに寄り添う働きの課題
私たちの働きは、弱さを抱える人々に寄り添うことを目標にしていますので、ホームページなどを通し、時折、難しい課題を抱えた方から助けを求める連絡が入ります。それらに寄り添うことを心に決め、社内の乏しい人材で傾聴活動を続けてきましたが、対応できないことも多く、全く面識のない地域教会にお願いすることも度々ありました。しかし教会も、高齢化、人材不足が進んでいますし、そもそも連携のない株式会社からの突然の依頼ですから、積極的に対応してくれることはあまりありませんでした。
弱さを抱える現代社会には、何かのサービス提供よりも、献身的な信仰者(善き隣人)自身を求める方が大勢おられます。もし、このような方に心を込め、継続的に寄り添うなら、日本宣教は必ず拡大するはずです。しかし、それに応えるための人材、資金、連携はあまりに乏しく、宣教の仕組みを構築する道筋は一向に見えてきませんでした。
一人のスタッフの申し出から
約7年間、20人ほどの方にコツコツと寄り添い、効果の大きさを確認してきたのですが、専任のスタッフを雇用できない状況では、これ以上の拡大は見通せませんでした。そんな折、この働きを続けてきたスタッフがフルタイムで対応したいと申し出てくれました。長年、弊社以外の福祉の働きにも従事してきたスタッフですが、他のすべての働きと比べても、働きがいがあると明言してくれたのです。
確かに、この寄り添う働きを通し、クライアントの抱える課題が完全に解決する例は少ないのですが、長いお付き合いの中、神様の祝福をクライアントとその家族に持ち運ぶことができたように思います。また、スタッフの中にも、クライアントのスピリチュアルペイン(解決できない霊的な心の痛み)を共に担うことから、聖霊の恵みと支えが備えられ、それが働きがいになっているようでした。
弱さを抱える日本社会にとって、極めて有効な宣教の働きへの献身ですから、神様は必ず支えてくださるに違いありません。私は、(一社)善き隣人バンクの発足と同時に、専任スタッフとして従事してもらうことにしました。ちょうど、コロナ禍が拡大する中でしたので、図らずも、冠婚葬祭の依頼が減り、時間的な余裕が生まれたこと、さらに、持続化給付金、家賃補助、事業復活支援金、クラウドファンディングなどが与えられたことなど、神様の支えが備えられました。
「善き隣人バンク」から宣教拡大
当初から実施してきた冠婚葬祭の働きの大きな課題は、依頼者に寄り添う時間の確保でした。例えば葬儀の場合、依頼から葬儀式まで遺族にできるだけ寄り添うことを心掛けていますが、召されるまでは頻繁に寄り添うことが難しいだけでなく、いったん終わってしまうと再度寄り添うことも難しくなります。
弊社には、未信者から葬儀相談が数多く入ってきますので、それらの相談の中で生前より継続して寄り添えれば、信頼関係が築かれ、多くの方が信仰に導かれるはずです。しかし、葬儀相談を契機に何度も訪問すると、まるで召されるのを待っているかのように思われることもあり、積極的に寄り添えないのが実情です。
しかし、葬儀とは一線を画す非営利の働きとして「善き隣人バンク」の働きを紹介し、生前から無償で寄り添い、弱さの中で共に祈り合う関係を築くなら、たとえ死を迎え、葬儀に至ったとしても、神様の祝福は家族親族に拡大していきます。もちろん葬儀だけでなく、弊社に入るあらゆる相談についても、「善き隣人バンク」の傾聴活動を優先することで、宣教効果は格段に向上していくと期待しています。
スタッフ志願者が増加
また、全国から助けを求めて連絡をくださる方に、心を込めて寄り添える傾聴スタッフが数多く必要になりますが、不思議なほど、能力の高い人材が志願してくださり、スタッフ間の連携が進んできました。数人で継続していたスタッフが、現在では20人を超えて増加しています。おそらくこのような働きへの献身を願っておられた方が多いのでしょう。面識のないスタッフ同士が、教派、教団、教会の枠を超え、善き隣人としてのネットワークを築いていく様子に、神様の計画の大きさを実感しています。
これらの働きは、今後、実績を積み重ね、多くの方の共感を得ながらゆっくりと拡大していくことでしょう。いつの間にかキリストの恵みが日本全土に満ちあふれる時代が訪れると、心より期待しています。
主をほめ歌え。主はすばらしいことをされた。これを全地に知らせよ。(イザヤ書12章5節)
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