効果的な宣教の仕組みを求めて創設したブレス・ユア・ホーム(株)の働きは、約8年の探索期間を経て、仕組みを構築する段階に移行してきました。
株式会社で宣教するメリット
2014年、聖書学校の学びを終えた私は、日本宣教拡大を目標に、教会ではなく、株式会社を創設しました。ほとんどの卒業生が地域教会に派遣される中、自ら立ち上げた株式会社を派遣先にするのは、珍しいことだったと思います。
しかし日本では、もう何十年も教会主体の宣教が進まない中、経験の乏しい私が同じ道に進んでも、成果を出せるとは到底思えませんでした。その点、自由に宣教手段を探れる株式会社は、私にとっては都合の良い選択でした。
さまざまなサービス事業を試してみましたが、提供するサービスは、どれも日本社会に祝福を届ける内容ですから、地域教会が日頃から実施していることと大きな違いが見られなくなりました。
しかし、サービスを依頼する方にとっては、敷居の高い教会ではなく、サービス事業を展開する事業者への依頼ですから、気軽に問い合わせて内容や料金を確認し、納得してサービスを受け取る通常の流れになります。
教会に依頼すると、相場の分からない謝礼や献金に戸惑うこともありますが、事業者への依頼は、料金に見合う気に入ったものだけを選べばよく、受け入れやすい方法です。
また、無償で長期間寄り添うこともありますが、営業活動や広報活動の延長と考えれば、気軽に受け入れてもらえる利点があります。
信仰に関わる相談や依頼が頻繁に入る
代表である私が牧師(国内宣教師)であり、連携する牧師が全国に数多くいますので、キリスト教への質問や、教会生活の悩み相談、入信の相談や洗礼の依頼など、本来は地域教会に入るべき連絡が頻繁に入ります。
おそらく、背後に教団や教会のない株式会社の方が連絡しやすいのでしょう。さまざまな電話に対応することで、宣教の機会や活動の幅はとても広くなりました。
教会同士の連携も、私たちが仲介することで比較的スムーズに運びます。連絡をくださる方に対し、教団、教派を超え、協力して寄り添うためには、株式会社が間に入る方が都合よく進みます。
遠方からの電話には、近隣の牧師に連絡を差し上げ、実際の対応をお願いすることも多くなります。ありがたいことに、突然の依頼にもかかわらず、多くの場合、地域教会の牧師が丁寧な対応をしてくださり、祝福が各地に届けられます。
全国の至る所でさまざまなドラマが展開し、人々が救われ、家族ぐるみで地域教会に集うようになることもあります。温かく対応してくださる地域教会の皆様には大変感謝しています。
株式会社であることのデメリット
一方、株式会社であることのデメリットも目立つようになりました。応援してくださる教会や牧師には感謝していますが、株式会社に対して偏見を持っておられる方もおられます。
大きな教団の牧師の集まりで講演させていただいた直後のことでした。ある方が、「教会は、利益を追求する株式会社と連携しない方がよい」と、教団の会議の場で言われたそうです。
非常に残念なことですが、一言そのような意見が出てしまうと、それまで好意的に対応してくださっていた関係者とも距離ができてしまいます。
教会や教団も日本的なタテ社会共同体ですから、影響力のある人の言葉や意見は、全体の姿勢に大きな影響を与えてしまいます。株式会社として連携を進める際には、慎重な対応が求められます。
助成金や寄付金をもらいにくい
株式会社は利益がなくては存続できませんが、逆に利益を求め過ぎる企業経営は、日々の業務に追われ、多くの問題を起こしかねません。利益が増して企業活動が安定しても、業務が極端に忙しくなり、宣教が進まなくなっては本末転倒です。
優れた宣教の仕組みを構築するためには、利益を追求する業務を避け、じっくりと試行錯誤を続けることが大切になります。効果的な宣教の仕組みを構築するために、経済的な負担は徐々に増加することを覚悟しなければなりません。
また、現代社会では、孤独や貧困が増していますので、料金を設定できないサービスも増えています。無料で提供するサービスが増えるにつれ、これも経済的な負担が大きくなる要因になっています。
効果が大きいものの、事業性のない働きに対しては、助成金や寄付金を頂いて継続したいのですが、株式会社のままでは難しい側面があります。そこで、試行錯誤の末、昨年、非営利型一般社団法人善き隣人バンクを立ち上げることになりました。今後、日本社会で受け入れられ、信仰の有無にかかわらず、多くの方が参加できる働きになってほしいと願っています。
献身的な信仰者が快く遣わされる時代に向け
このように、ブレス・ユア・ホーム(株)と(一社)善き隣人バンクは、互いを補完しながら、日本宣教拡大という同じ目標に向かって、日本社会に祝福を届ける働きを始めました。今後、この仕組みを一層効果的なものへと作り上げ、地域教会の皆様と共に宣教を拡大したいと願っています。
日本社会には、福音を心待ちにしている方が大勢おられます。それらの方々のもとに献身的な信仰者が数多く遣わされ、神様の臨在の中、快く働ける時代になることを心から願っています。
◇