新型コロナウイルスに感染したとみられる発熱者が1日に20万人以上も確認されている北朝鮮について、世界教会協議会(WCC)のイオアン・サウカ総幹事代行は17日、人道危機だとして深刻な懸念を表明する声明(英語)を発表した。
声明は、「北朝鮮の国民はワクチン未接種で、十分な人工呼吸器やその他の必需品もない状況にあり、前例のない死者が出る危険性が非常に高い」と警鐘。感染爆発は、すでに食糧難などを抱えている北朝鮮の人道的状況をさらに悪化させるものだとしている。
その上で、「WCCはこの危機の深刻さに見合った国際社会による緊急の人道的対応を呼びかける」と表明。新開発の経口抗ウイルス薬や感染の有無を調べる検査キット、人工呼吸器、個人防護具(PPE)、ワクチンなどの医療品と食糧の供給が緊急に必要だと訴えている。
また、北朝鮮に対する人道的対応は、国連を通じた「中央集約的かつ協調的」なものになるべきだと主張。現在、北朝鮮に対して行われている経済制裁についても、人道的対応の支障となるものについては、「基本的な倫理的・人道的責任の問題」として解除するよう求めている。
国営の朝鮮中央通信(英語)によると、北朝鮮では16日午後6時から17日午後6時までの1日に、23万2880人の発熱者が確認され、6人が死亡した。4月下旬からの発熱者の累計は171万5950人で、このうち102万4720人が回復したものの、69万1170人が医療手当を受けている。死者の累計は62人とされている。北朝鮮の人口は約2600万人で、すでに人口の6・5パーセントを超える発熱者が出ている計算になる。