シンガー・ソングライターで牧師(日本フォースクエア福音教団秋津福音教会宣教牧師)の小坂忠(こさか・ちゅう、本名:小坂正行=こさか・まさゆき)さんが29日、死去した。73歳だった。5年前にがんが見つかり、闘病中だった。
1948年東京生まれ。66年にロックバンド「ザ・フローラル」を結成し、ボーカルとしてデビュー。その後69年には、細野晴臣さん、松本隆さんらと共に「エイプリル・フール」を結成した。NHK「おかあさんといっしょ」の作曲なども手掛け、75年にリリースしたソロアルバム「ほうろう」は、日本のR&Bの代表的作品として評価された。
娘が重度のやけどから奇跡的に回復したことをきっかけに、76年にクリスチャンになった。78年には、日本初のゴスペル専門レーベル「ミクタムレコード」を設立。数多くのクリスチャン音楽家のCDをリリースし、コンサートを企画するなどしてきた。
2017年に急性胆のう炎とがんが見つかり、大手術を受けた。その後も、闘病生活を送りながら音楽活動を継続。昨年11月には、日本武道館で開催された松本さんの作詞活動50周年記念ライブ「風街オデッセイ2021」にも出演するなどしていた。
妻で牧師の叡華(えいか)さんはこの日、小坂さんの公式サイトで、「牧師そしてシンガー・ソングライターの小坂忠は、5年前に発症したS字結腸癌から転移した全身癌による肝不全との闘いを終えて天に凱旋(がいせん)しました」と報告。「デビューから55年の幸せな音楽人生でした。セキュラーミュージックとクリスチャンミュージックの両方で多くの人々に愛され愛唱されたことは身に余る光栄でした。これまでのご厚情を心より感謝いたします」と伝え、新約聖書の一節を添えた。
これらの人々はみな、信仰の人々として死にました。約束のものを手に入れることはありませんでしたが、はるかにそれを見て喜び迎え、地上では旅人であり寄留者であることを告白していたのです。(中略)しかし、事実、彼らは、さらにすぐれた故郷、すなわち天の故郷にあこがれていたのです。(ヘブル11:13、16)