東京ホープチャペル(東京都台東区)主催の「チャリティークリスマスゴスペルコンサート」が16日、東京・有楽町のよみうりホールで開催された。1998年から続く恒例のイベントで、会場は千人を超える人で溢(あふ)れた。収益金の一部は日本国際飢餓対策機構に寄付される。
20回目を迎えた今年は、レイディ・ルイス&T.N.T.Praise!とギルバート・エスピネリ&Divine Trinity Gospel Choirによる本格的なゴスペル、そして小坂忠さんのソウルフルな歌声がホールに響き渡った。
クリスマスメッセージは同教会の西田育生牧師が語った。
「クリスマスはイエス・キリストの誕生日です。『キリスト』と『ミサ』という2つの言葉が組み合わさってできた言葉で、『キリストの祭り』という意味です。
聖書にはキリストの誕生についてこう書かれています。『きょうダビデの町で、あなたがたのために、救い主がお生まれになりました。この方こそ主キリストです』(ルカ2:11、新改訳)
イエス・キリストは、私たちを罪から救うために生まれました。キリストの目的は、失われている人を捜し出して救うこと。ただ、そのために天国から見守ったり、導いたりするのではありません。私たちの痛みや苦しみを理解するため、私たちと同じ姿で生まれたのです。
皆さんの中には、何かに迷い、自分が今どこに向かっているのか分からないと感じている方はいらっしゃらないでしょうか。神の愛を知らなかった16歳の私も、自信がなく、劣等感でいっぱいでした。イエス・キリストに見いだされ、キリストの愛が分かったとき、人生がどんなに素晴らしいものであるかを知ることができました。
物質であれば、なくしても替えがきくかもしれません。しかし、人間には代わりがいません。『生きている意味が分からない』、『生まれてこない方がよかった』と感じている方は、ぜひ祈ってみてください。難しくはありません。目を閉じて、神様に向かって『助けてください』と祈ればいいのです。今日が、イエスの愛に触れて『生きていてもいいんだ』と思ってもらえるきっかけになれば」
スペシャルゲストの小坂さんは、スタンダードナンバーの「What a Wonderful World(この素晴らしき世界)」や、ロサンゼルス五輪(1984年)の際に作ったというオリジナル曲「勝利者」など4曲を披露した。
「ルイ・アームストロングが作ったこの『What a Wonderful World』には、緑の木々や青い空など、特別なことではなく、普段そこにある喜びが歌われています。東北や熊本など、被災地に行って分かったのは、あの震災はそんな日常の幸せを奪ってしまったということ。そして、復興とは、失われた日常を取り戻すことなんだと強く感じます。失ってから大切なことに気付くことがありますが、失うことなく常に恵みを感じていたい。
僕は8月に、3つの臓器を摘出するという、10時間に及ぶ大手術を受けました。50日間の入院を余儀なくされ、入院中に15キロも痩せてしまった。本当に苦しかったのですが、振り返ってみると、恵みの時だったと感じます。それは、一番苦しいときにそばにいてくれたのがイエス・キリストだと分かったからです。そして、世界中の人が僕のために祈ってくれ、力をもらいました。奇跡的に生還して、今こうして歌を歌えることが僕にとって一番の喜びです。
1年で今が最も孤独で苦しいと感じる人もいるでしょう。この時期に、孤独感から自分を傷付けてしまう人も少なくありません。そんな人はぜひ教会で祈ってもらいましょう。あなたはひとりではありません」
「アメイジング・グレイス」のメロディーに「ハレルヤ」の歌詞をのせた小坂さんによるコーラスや、コンサートの最後にクワイヤーの全メンバーが歌った「きよしこの夜」など、会場を訪れた人々も共に歌い、クリスマスを祝った。