東京キリストの教会(東京都渋谷区)で11月18日、「HOPEチャリティーコンサート2017」が行われた。
25回目となる今年は、「COROLEST(カラーレスト)」と題したオリジナルのミュージカルが披露され、午前と午後の2回公演合わせて約700人の観客が歌やダンスに魅了された。出演者は、同教会のメンバーで劇団四季出身の俳優、また現役のダンサーやミュージシャンらで、本格的だ。
小学校を舞台に、趣味も性格もまったく違う8人の教師が、時間をかけて互いを理解し合い、生徒の前で発表会を行うまでのストーリーが描かれた。自信が持てず、人の輪の中に入ることが苦手な「白峰先生」、堅物で普段はほとんど笑顔を見せない「黒須先生」、とにかくポジティブで頑張り屋の「黄島先生」など(名前に色が入っている)、観客はそれぞれのキャラクターに自分や身近な人を重ねながら楽しめるようになっている。
また、劇中にはミュージカル「ウエスト・サイド物語」やディズニー映画などのナンバーも盛り込まれたほか、フィナーレには、この作品のために作られたオリジナル曲「あなただけのいろ」も披露された。
演出・脚本を手掛けた内御堂真(うちみどう・しん)さんに今回のミュージカルについて話を聞いた。
「タイトルの『COROLEST(カラーレスト)』とは、一番いい色という意味の造語です。
僕がこのチャリティーコンサートに携わらせていただくのは4年目で、毎年、聖句からテーマを決めています。今回のテーマは第1コリント12章から。一人一人がキリストの体の一部分であり、『一つの部分が苦しめば、すべての部分が共に苦しみ、一つの部分が尊ばれれば、すべての部分が共に喜ぶのです』とあります(26節)。
僕たち人間は、些細(ささい)なことで他人と自分を比べて競い合ったり、自分に足りない部分を見つけて落ち込んだりということがよくありますよね。僕自身もよく自信が持てなくなることがあります。でも、それぞれの個性が組み合わさることで生まれる色が本当に一番いい色じゃないかと思うんです。
今回は、発達障がいを持つ子どもたちも舞台に立ってダンスや演技を披露してくれたんですよ。短い期間で振り付けやセリフを覚えて、楽しそうに舞台で踊る姿に、僕たちも本当に励まされました。
聖書には『障がい』という言葉は存在しません。聖書には、一人一人が神様によって創(つく)られた最高傑作だと書かれています(詩篇139:14参照)。このチャリティーコンサートを通して、障がいを持つ方々への理解が深まると同時に、多くの方々がイエス・キリストの愛に触れるきっかけにもなれたらと思っています」
このコンサートの収益金はすべて、障がい者の就労支援施設である「ホープ就労支援センター」(東京都渋谷区)の運営費用に充てられる。NPO法人ホープワールドワイド・ジャパンの理事長である加藤敦さんにも話を聞いた。
「私たちは、米国に本部を置くホープワールドワイドと協力し、『隣人を愛する』という聖書の精神に基づいてさまざまな慈善活動を行っています。過去25年間のチャリティーコンサートの観客動員数は2万人を超えました。
実は私自身が神様を知るきっかけになったのも、1995年にこの教会で行われたチャリティーコンサートでした。当時の私は24歳。夢も希望もなく、職を転々とし、都会の誘惑に負けた、罪だらけの人生を歩んでいました。だからこそ私は、聖書に描かれたイエスの確信に満ちた力強い生き方に憧れ、翌年、洗礼を受けて人生が変えられたのです。今でも失敗の連続ですが、神様がチャンスを与えくださったことにより、障がいを持つ方々を支援する機会をいただいて、そこで新たな出会いもたくさん生まれています。
イエス・キリストは宣教活動を行いながら、障がいや重い病と闘っている人、孤児やシングルマザーなど、社会的弱者と呼ばれる人々を次々と助け、奇跡を起こしました。どんな人にも弱さがあり、1人で生きていくことはできません。すべての人々に寄り添い、手を差し伸べ続けたキリストに倣って、一人一人が『こころのバリアフリー』の実現に向けて取り組んでいけたらと思っています」