米フロリダ州発の大手ハンバーガーチェーン「バーガーキング」は17日、イエス・キリストが最後の晩餐で語った言葉を、イースター(復活祭)を前にした聖週間(受難週)に、商品の宣伝に使用したことでスペインのカトリック信者らから非難されたことを受け、謝罪した。
同社は原材料に肉を含まないパティを用いたハンバーガー「ビッグキング・ベジタル」の宣伝キャンペーンをスペインで展開した際、イエスが最後の晩餐で語った言葉「取って食べなさい。これはわたしの体である」(マタイ26:26、新共同訳)をパロディーに使用。「取って食べなさい」の次に、「これは肉が使われていない」と続け、「野菜100%」「風味100%」と並べた。
また他の広告では、「わたしの肉の肉」(創世記2:23、同)をパロディー化し、「肉」を「野菜」に置き換えていたという。バーガーキングは、スペインで200店舗余りを展開している。
問題の広告に使われたイエスの言葉は、キリスト教の秘跡(聖礼典)の一つ「聖体の秘跡」(聖餐)を、イエス自らが制定した際に語ったもの。カトリック教会のミサで聖体の秘跡が行われる際には、司祭が「皆、これを取って食べなさい。これはあなたがたのために渡されるわたしのからだである」と唱える。
この広告は、スペイン全土のバス停に掲載されたが、スペインは人口の約6割がカトリック信者であるため、大きな反発を受ける結果となった。
オリウエラ・アリカンテ教区のホセ・イグナチオ・ムニラ司教はツイッター(スペイン語)に、広告の写真を添えて、「どうやら、料理の味覚の喪失と宗教的感情の尊重の欠如は、密接に関係しているようだ」と投稿。広告はカトリック信者の宗教的感情を損なうものだとして批判した。
こうした反響を受け、バーガーキング・スペインはツイッター(スペイン語)に、次のように投稿して謝罪した。
「イースターの時期に、当社のベジタブル商品をアピールすることを目的としたキャンペーンで、不快な思いをされた皆様にお詫び申し上げます。私どもの意図は、決して誰かを不快にさせることではありませんでした。すでにキャンペーンの即時中止を要請しております」