今や世界中で有名な、スペイン北部のボルハにあるイエス・キリストを描いたフレスコ画「Ecce Homo(この人を見よ)」の修復画を見に、これまでに数十万人の観光客が訪れているとエドアルド・アリラ市長が明かした。修復画は新しいセンターに展示される予定だという。
アリラ氏は「Ecce Homo」をTシャツやティーカップなどのオフィシャルグッズと共に新しいセンターに展示することについて、AP通信に「その絵に新しい力を与えることです」と語った。
アリラ氏は、2012年にセシリア・ヒメネスさんが修復し、口コミでその存在が伝えられたキリスト画を見るために、この小さな町に16万人近い人がすでに訪問したと述べた。
この話は、現在85歳になるヒメネスさんが2012年に、サラゴサの近くのサントゥアリオ・デ・ミセリコルディア教会に1910年に描かれたイエス・キリストを描いたフレスコ画を修復しようと試みたが、見る人の多くが原画とほとんど似ていないと指摘し、一部から「モンキー・キリスト」とまで揶揄(やゆ)される未完の状態でとどまっている。
人口5千人のボルハには世界中から注目が集まり、その「修復」を見ようと多くの観光客が興味津々で訪問した。その結果、地域の慈善事業のために6万6千ドル(約750万円)がすでに集まっている。
アリラ氏は、新しいセンターに毎年3万人の訪問客を見込んでおり、売上はヒメネスさんと教会が所有する退職者ホームに分配される予定だ。新しいセンターには、この「修復」がどれほど町中にインパクトをもたらしたかについての写真や映像を展示し、自分で「Ecce Homo」を描いてみたい人のためのキャンバスも用意されるという。
原画はいばらの冠を被ったイエスの像で、約100年前のスペインの画家エリアス・ガルシア・マルティネスの作だ。デイリー・メール紙によると、ヒメネスさんは修復についてのドキュメンタリーの中で、「私は修復の仕方を知っていると考えていました」と説明していた。「しかしその絵画が独り歩きしてしまったのです」
彼女は、絵画の修復は思っていたより長くかかったので、休暇をとって出掛けたのだと明かした。「ですからあれは未完なのです。私には、あの顔を修復できるだけの時間がなかったのです」とヒメネスさん。しかし、休暇から帰ってきたときには修復を完了する機会がもうなかったのだ。
ヒメネスさんは2013年、自身の修復の試みによって町に注目が集まったことをうれしく思っていると語った。彼女は地元の新聞に、「今は誰もが幸せなように見えます」と語っていた。「物事が落ち着いたことに感謝します」
ヒメネスさんは、30日に予定されているボルハの新しいセンターの除幕式に出席すると報じられている。