スペイン福音同盟(AEE)は、「民主的自由を脅かす」として、スペイン国会で審議されているLGBT(性的少数者)の権利に関わる新法案に反対する声明(英語)を発表した。
法案は、性的指向や性自認、あるいは性表現や性的特徴による差別を禁止し、LGBTコミュニティーの社会的平等を目指す内容となっている。特に、政府機関による平等意識の促進と、いわゆる「転向療法」(性的指向や性自認を矯正する療法)を試みる者に対して罰金を課すことが盛り込まれている。
AEEは、A4版6ページにわたる長文の声明で、「新法案は、科学的証拠というよりもむしろ、教義的なものに基づくもので、ある特定のイデオロギーを押し付けるものです。1つの社会集団に他集団を上回る特権を与えることは、全市民が平等であるべきことに矛盾しており、良心の自由と表現の自由を制限し、市民社会と家族が持つ権限を侵害するものです」と述べている。
また、「私たちはすべての国会議員に対して、民主主義の精神と、法案で議論されている真の多様性を回復するよう、そして教義や新しい正統性、保護、不平等、不寛容、特に進歩と称しているまがい物の犠牲にならないよう求めます」と要求している。
人口の7割以上がカトリックとされるスペインでは、福音派は人口の約2・5パーセントとされるプロテスタントのほんの一部に過ぎない。一方、福音派の中でも、スペインの古い教派であるメソジスト長老派スペイン福音教会など、法案を好意的に受け取っている教会も存在する。
法案はスペイン国会で9月にも可決される見通し。