中国の警察当局は8月22日、礼拝を行っていた「家の教会」のスモールグループを強制捜査し、礼拝に参加していた子ども10人を含む計28人を拘束した。
強制捜査が行われたのは、これまでも警察当局から激しい取り締まりを受けてきたプロテスタントの政府非公認教会(家の教会)である秋雨聖約教会のスモールグループ。日曜日の22日午前、同国南西部・四川省成都成華区の教会員宅で少人数の礼拝を行っていたところ、成華区猛追湾署の警官らが突然やって来たという。
同教会のフェイスブック(英語、動画あり)によると、警察は「違法な集会が行われていると通報を受けた」と主張。スモールグループの説教者である戴志超(ダイ・チーチャオ)氏は、令状の提示を求めたが、警官らは無視して強制的に踏み込んできたという。
迫害監視団体「国際キリスト教コンサーン」(ICC、英語)によると、戴氏はその際、腕を負傷し、助けようとした他の男性も負傷した。また、戴氏は携帯電話も没収されたという。同教会の教会員はICCに対し、多くの人が警官に殴られたとし、「子どもたちが騒いでいると、警官たちは頭を殴ると脅していた」などと語った。
その後、警察はほとんどの人を釈放したが、戴氏と、スモールグループの会場として自宅を開放していた何山(ヘー・シャン)氏は14日間の拘留刑となり、何氏はさらに千元(約1万7千円)の罰金も科された。
60カ国以上でキリスト教に対する迫害を監視している「オープンドアーズ」は、中国には約9700万人のクリスチャンがいると推定しており、その大部分は中国政府が「違法」と見なす家の教会で礼拝を行っているという。
秋雨聖約教会は、5千人の教会員を擁する中国で最大規模の家の教会だったが、当局によって2018年に閉鎖させられ、教会指導者や教会員の自宅にも捜査の手が伸び、関係者100人以上が拘束された。同教会の王怡(ワン・イー)牧師はその後、国家政権転覆扇動と違法事業運営の罪で懲役9年の判決を受けた。教会が閉鎖されて以来、教会員は直接集まることができなくなっており、米国に拠点を置く人権団体「チャイナエイド」の最近の報告によると、警察による教会員に対する嫌がらせや監視は現在も続いているという。
ICCの東南アジア地域マネージャーであるジーナ・ゴー氏は、次のように述べている。
「秋雨聖約教会に対する今回の強制捜査は目新しいものではありませんが、家の教会が『法の執行』の名の下に頻繁にこのような嫌がらせを受けているという、憂うべき傾向を示しています。中国政府は、法的欠陥のある改定宗教関係規則を全国の家の教会を取り締まるために採用しています」
ゴー氏はまた、中国共産党が家の教会を恐れているのは、「哀れでばかげたことであり、批判勢力に対する習近平国家主席の不安を浮き彫りにするものです」とし、中国で信教の自由がまったく考慮されていない点を嘆いた。