中国でキリスト教書を扱うオンライン書店「小麦書房」を経営していた店主の陳煜(チン・ユー)さんが9月27日、「違法な営業活動」をしていたとして、禁錮7年と罰金20万元(約310万円)の支払いを命じられた。米迫害監視団体「国際キリスト教コンサーン」(ICC)が1日、公式サイト(英語)で明らかにした。
在米中国人団体「華人基督徒公義団契」(CCFR)の劉貽(フランシス・リュー)牧師が公開した臨海市人民法院(浙江省台州市)の文書(中国語)によると、陳さんは禁錮刑と罰金に加え、所有していたスマートフォンも没収された。また、小麦書房の書籍1万2864冊も臨海市公安局によって破棄されたという。
陳さんは昨年9月、台湾や米国から輸入した無許可の宗教書物を販売したとして逮捕された。ICCによると、警察は小麦書房の販売記録から同店の顧客を洗い出し、全国的な捜査を行い、販売された書籍も没収したという。
ICC東南アジア地域担当マネージャーのジーナ・ゴー氏は、陳さんの判決について「中国政府がいかに宗教的なものすべてに恐怖心を抱いているかを示すもの」だと言う。
「中国共産党はもはや、宗教的なシンボルや対聯(ついれん、漢詩の対句)、キリスト教書に至るまで、宗教的な要素を持つものはすべて容認していません。秋雨聖約教会の王怡(ワン・イー)牧師や陳さんのようなキリスト教徒に対する重過ぎる処罰は、キリスト教に対する取り締まりが今後激しくなることを示唆しています。米国政府と国際社会は、北京の専制政治に立ち向かい続けるべきです」
中国は2018年3月末、国内のインターネット通販各社に聖書の販売禁止を命令。中国の各ネット通販サイトから突然、聖書が消える事態となった(関連記事:中国のネット通販から聖書消える、宗教締め付け強化か)。そのため中国では現在、聖書を合法的に入手するには、国内のキリスト教会を監督する政府公認の機関を通してしか方法がないという。