同性カップルの結婚式のフラワーアレンジメントを信仰上の理由で拒否したことにより、クリスチャンの女性が経営する生花店が罰金を科されたことをめぐる訴訟で、米連邦最高裁は2日、女性側の上告を棄却する決定を下した。
この男性同士の同性カップルは、何年も前からバロネル・スタッツマンさん(76)が経営する生花店の顧客だったが、2人の結婚式のためのフラワーアレンジメントを依頼したところ、スタッツマンさんは、結婚は男女間のものであるという自身の宗教的信条を理由に断ったという。
これを受け、同性カップルはスタッツマンさんを提訴。スタッツマンさんは2015年、ワシントン州の郡裁判所から千ドルの罰金を言い渡され、その後17年には州最高裁からも不利な判決を言い渡された。しかし、連邦最高裁は翌18年、同性カップル用のウエディングケーキ作りを拒否したクリスチャンのケーキ職人をめぐる訴訟で、職人側を支持する判決を下したことを受け(関連記事:同性婚ケーキ作り拒否 最高裁でケーキ職人が逆転勝訴、なぜ? 判決詳細)、スタッツマンさんの訴訟においても、州最高裁の判決を破棄し、差し戻しを命じた。だが州最高裁は19年、スタッツマンさんが性的指向を理由に差別をしたと結論付けた当初の評決を、全会一致で再び支持する判断を下していた。
この訴訟でスタッツマンさんの代理人を務めてきた保守系キリスト教団体「自由防衛同盟」(ADF)は、上告棄却を決めた連邦最高裁の決定に失望したとし、ツイッター(英語)に次のように投稿した。
「バロネル・スタッツマンさんは、彼女の宗教で神聖とされている儀式(結婚式)のための作品を作ることを拒否するまで、『何年もの間』同性愛者の顧客に親切に対応してきました。彼女は、深く抱いた自身の信念に基づいて行動したために、訴えられ迫害されたのです。連邦最高裁がこの件を審理しないという決定は残念ですが、私たちの戦いは終わっていません」
米CNN(英語)によると、スタッツマンさんの担当弁護士であるADFのクリステン・ワゴナー氏は、今回の決定を「悲劇的」だとして、次のように述べた。
「すべての米国人による、(信教の自由、表現の自由、報道の自由の保障などを定めた)合衆国憲法修正第1条の自由を守るという重大な努力は続けられなければなりません。誰もが、自分が同意しないメッセージを表現させられたり、同意しないイベントを祝うことを強制されたりするべきではありません」