米国第2の長老派教団であるアメリカ長老教会(PCA)は1日、ミズーリ州セントルイスで開催した第48回年次総会で、同性愛者に按手(あんしゅ)を授け牧師とすることを全面的に禁止する教会憲法の改正案を、賛成1438、反対417で可決した。
PCAが運営するウェブマガジン「バイフェイス」(英語)によると、可決されたのは、牧師の資格を規定する教会憲法第16章の改正を求める第23号議案。同議案は、第16章に第4条として以下の文言を加える内容となっている。
「アメリカ長老教会の役員は、その歩みにおいて非難されることなく、その人格においてキリストのようでなければならない。堕落した欲望(同性に引かれるなど)の罪深さを否定したり、漸進的な聖化の現実と希望を否定したり、罪深い誘惑や傾向、行動に対する聖霊の力による勝利を追求しなかったりすることによって、キリストにあって新しく創造された者としてのアイデンティティーを損なう、またはそれと矛盾するようなアイデンティティー(「ゲイのクリスチャン」「同性に引かれるクリスチャン」「同性愛のクリスチャン」など)を公言している人は、按手を受ける資格がない」
米宗教専門のRNS通信(英語)によると、第23号議案は今後、PCAの各中会で審議され、3分の2以上の中会で可決され、さらに来年開催の次期総会で過半数以上が賛成した場合、正式に発効することになる。
PCAはまた、「教会の役職に必要な道徳的要件を明確にする教会憲法21章4条および24章1条の改正」を求める第37号議案(英語)も、賛成1130、反対692で可決した。
同議案は、按手の要件と手続きを定めた21章4条について、按手を受ける候補者を審査する場合、人間関係における罪や、同性愛やポルノなどの性的不道徳、依存症、虐待行為、財務管理の不備などの点で特に注意を払うべきだとし、「罪深い行為に対する実践的な闘いや、持続する罪深い欲望に対して、注意深く考察しなければならない」とする内容を盛り込むよう求めている。
また、「候補者はキリストとの結合と聖霊による恩恵に頼り、この恵みの働きに頼って罪を克服していることを明確に証言しなければならない。(中略)不完全さが残るとしても、候補者は、残された罪深さ(例えば同性愛の欲望など)によるうわさや、またその罪深さの告白によって知られるべきではなく、キリスト・イエスにある聖霊の働きによって知られるべきである」と付け加えている。
PCAは、アメリカ合衆国長老教会(PCUSA)に次いで、米国で2番目に大きな長老派の教団。同性愛者だけでなく、女性の牧師も認めない保守的な立場を採る。一方、PCUSAは2015年に同性婚を容認。女性や同性愛者の牧師も認めるリベラルな立場を採っている。