英国国教会の主教会は20日、ロンドンのランベス宮殿で開いた会合で、トランスジェンダー(心と体の性が一致しない人)の性転換を祝うために、新しい礼拝式文は作らないことを決定し、その代わりに既存の洗礼用の式文を使用するよう助言した。
英デイリー・メール紙(英語)によると、トランスジェンダーのための新しい式文は、同教会ナンバー2であるヨーク大主教ジョン・センタムらが推していたが、ランべス宮殿で同日行われた非公開の会合で、主教らはこの動議を却下した。その一方で、既存の式文「洗礼の信仰の確認」を用いるよう助言した。これは、洗礼や堅信礼を行うときに使用するもので、同教会の新祈祷書『コモン・ワーシップ』に収められている。
同教会は昨年7月の総会で、トランスジェンダーを肯定し、歓迎する動議を賛成多数で可決。主教会はその後、性転換を洗礼のような儀式で記念するために、特別な式文を準備するかどうかの決定を委ねられた。23日には声明(英語)を発表し、会合で話し合われた内容(英語)も公開。ノリッジ主教グラハム・ジェームズは声明で、次のように述べた。
「英国国教会はトランスジェンダーを歓迎し、彼らが教会生活に入ることを心から願っています。新しい礼文が必要かどうかの問題に関して、主教会は洗礼を認めるために用いられている現行の式文が採用可能であると決定しました」
トランスジェンダーの性転換を記念する儀式で洗礼用の式文をどのように使用するかなど、具体的なガイドラインは、今年後半に開かれる主教会で発表されるという。
また同紙によると、主教会は長年議論されてきた同性婚に関しての新しい「教えの文書」にも取り組んでいる。しかし完成は、2020年以降になる見込みだという。
主教会は昨年2月、2年以上にわたる議論の結果として、同性婚に関する報告書を発表。この中では、同性カップルに対して「最大限の自由」を認めるべきとの考えを示す一方、結婚は1人の男性と1人の女性によるもので、同性婚を容認しない立場を明らかにしていた。