「外国人住民基本法の制定を求める全国キリスト教連絡協議会」(外キ協)は3日、オンラインで1月28、29の両日に開催した「第35回全国キリスト者集会」の宣言「コロナ危機をともに生きぬくキリスト者アピール2021」を発表した。
外キ協は1980年代以降、全国のキリスト者が取り組んできた外国人登録法(外登法)の改正運動を背景に、外国人住民の権利を求めて活動する各地のキリスト教連絡会(外キ連)と各教派・団体が87年に結成した全国協議会。98年には私法案「外国人住民基本法(案)」を作成し、以降その制定運動に取り組んでいる。
外キ協の「外国人住民基本法(案)」は6部23条から成り、3年以上居住する外国人に直接請求や解散・解職請求の権利を認めたり(第20条)、3年以上居住する永住資格保有者の外国人に地方自治体への参政権を認めたり(第21条)するなど、賛否あり議論がなされている外国人参政権を規定している。
宣言によると、外キ協は「コロナ危機と21世紀移民社会の宣教課題」を主題に第35回全国協議会を開催。各地の外キ連、外キ協に加盟する各教派・団体の代表者ら63人が参加し、現状の課題とこれからの取り組みについて協議した。
具体的には、コロナ禍で教会や市民団体が実施した緊急募金や生活支援などの報告を聞き、行政によるより包括的な取り組みが必須である現状を共有。一方で、送還忌避罪などの罰則の強化を目的とした出入国管理・難民認定法(入管法)のさらなる改悪が進められようとしていることを確認したという。また、聖書の言葉から、世界の現実を弱者・犠牲者の視点から見ることの意義を分かち合った。さらに、この状況の中でこそ、和解と平和を目指すために教会が担わなければならない使命について共に学んだという。
宣言は、コロナ禍を乗り越えるためには、「すべての人の命と尊厳、そして人権が守られる新しい社会を実現してゆくことが必要」と指摘。他民族・多文化共生社会を実現するために、「侵略戦争と植民地支配をひきおこした過去の歴史に真摯(しんし)に向き合い、その過ちを明らかにすること、また、外国人を地域に生きる一人の人間として尊重し、住民としての生活を支え、差別を明確に禁止し、それぞれの文化を生かしあう制度を整えることが不可欠」と訴えた。
その上で、「他民族・多文化共生社会の実現のために、私たちはこれからも、日本・韓国・在日教会の共同作業を通して、歴史に向き合い、真実と和解に向けた対話を進めてゆきます」と表明。さまざまな市民団体と協力しながら難民申請者・超過滞在者への生活支援に取り組みつつ、地方自治体に対しては「人種差別撤廃基本条例」の制定を、国に対しては「外国人住民基本法」と「人種差別撤廃基本法」の制定を求める取り組みを続けていくとした。