英国でキリスト教教育の活性化を推進する「クリスチャン・インスティテュート」(CI)は、新型コロナウイルス感染症対策として、同国政府が再び教会の閉鎖を強要しないよう「確約」することを求めている。
英国では感染者の増加に伴い、イングランドで2度目のロックダウン(都市封鎖)が11月5日から12月2日までの期間で実施されている。そうした中、教会の閉鎖を繰り返すことは「途方もない間違い」だとCIは警鐘を鳴らしている。
英国のボリス・ジョンソン首相は23日、「新型コロナウイルス感染症対策冬季計画」(英語)を発表し、12月2日のロックダウン終了後も段階的な制限を実施すると述べた。ただし礼拝所については、公衆の礼拝に向けて再開することを許可した。
同計画の第72項には、次のように書かれている。
「政府はまた、あらゆる宗教の信者が今年、多大な犠牲を払っていることを認識している。多くの宗教的な祝典や儀式に制限が設けられており、その犠牲のおかげで新型コロナウイルスを抑制できている」
「共同体による礼拝は、全3階層においてすべての宗教で可能となることから、宗教指導者は、可能な限り安全に宗教を実践する方策について助言するという重要な役割を引き続き担うことになる」
CIのディレクターを務めるコリン・ハート氏はプレスリリース(英語)で、教会の再開が許可されたことを「歓迎し、安堵(あんど)している」と述べた上で、冬季計画の発表が「長い間遅れていた」とも述べた。
「私たちが今必要としているのは、政府が二度と教会を閉鎖しないという確約です」とハート氏。「(英政府の主席科学顧問である)パトリック・バランス博士と(イングランド主任医務官の)クリス・ホウィッティー教授は、教会の強制的な閉鎖を正当化する十分な根拠を政府が持っていなかったことを認めました。2度目のロックダウンでは、閣僚たちは園芸センターを開くことは『リスクに値する』と考えているようでしたが、教会を開くことについてはそうではありませんでした」と語った。
「このことは、英国の国民生活においてキリスト教信仰の場が大きなダメージを受けていると考えられていることを示しています。公衆の礼拝は、マグナカルタ(大憲章)制定以前から中断されたことがありません。それ以降、度重なる疫病やロンドン大空襲に見舞われても、教会は固い決意をもって門戸を開き続けています」
感染症対策を理由とする公衆の礼拝の禁止は、英国国教会やカトリック教会の指導者らをはじめ、国内のキリスト教徒から厳しく非難されている。その中には、制限措置に反対する公開書簡に署名した約1500人の牧師らも含まれる。
ハート氏は、霊的な福祉を無視して、国民の健康と経済的幸福の保護のみに集中したことは政府の誤りだと述べた。
「私たちは、政府が新型コロナウイルスの感染拡大で大きなプレッシャーを受けていることを認識していますが、政府の行動は国民の健康と経済的ニーズを満たすことに集中しています。これらは非常に重要ですが、国民は単なる物質的存在ではありません。イエス様が言われたとおり、『人はパンだけで生きているのではありません』」
「多くの人が恐れと孤立を経験しています。しかし、霊的な必要は無視されてきました。教会はまさに開かれるべきときに閉鎖されたのです。教会を閉鎖することは途方もない間違いであって、決して繰り返されてはならないのです」