全国に6店舗のキリスト教書店を展開する宗教法人クリスチャン文書伝道団(CLC、中野覚〔さとる〕団長)が、12月で解散することが分かった。CLCが関係者向けの文書で明らかにした。出版不況に加えて新型コロナウイルスなどの影響で、働きを継続することは困難と判断したという。1950年に英国から来日した文書伝道師レイ・オーラム氏によって始められ、以後70年間にわたって日本における文書伝道の働きを担い続けてきた歴史に幕を閉じることになる。
中野氏は文書で、「70年にわたり、多くの教会、牧師、信徒の方々にお祈りいただき、支えていただいたこと、また宣教の働きを担うことができ、大変感謝いたします」と伝えた。
CLCは現在、東京、名古屋、金沢、京都、岡山、広島で店舗を運営している。発表によると、東京・御茶ノ水の「CLC BOOKS お茶の水店」については、来年1月からいのちのことば社が事業を引き継ぐ方針だという。
CLCは世界的な文書伝道の働きで、創設者のケネス・アダムス氏によって1941年、英南東部コーチェスターで設立された。その後、英国から世界に広がり、CLCインターナショナルのホームページ(英語)によると、現在は45カ国で働きが行われている。
日本のCLCが加盟する伝道団体連絡協議会の機関誌「協力」(50号、2003年)に中野氏が寄せた文章によると、オーラム氏が日本で働きを始めた当時は、まったくゼロからのスタートだった。宣教師や神学生に輸入した洋書を販売する傍ら、トラクト作成や福音文書の出版・販売までをすべて自前で行い、リヤカーに本を積んで販売し回ったという。最初の日本人スタッフとなった河井清治氏は英語が分からず、日本語の分からないオーラム氏とは絵やジェスチャーで意思の疎通を図らなければならなかったという。
第1号書店は1952年に仙台でオープンするも、あえなく閉店。しかしその後、国内だけでなくハワイにまで進出し、一時は国内に10店舗以上を構えていた。