バチカンは、中国との間で2年前に取り交わした司教の任命権に関する暫定合意を、10月22日に、さらに2年更新した。合意の条件は公表されていないが、平たく言えば、中国政府が推薦する司教をバチカンが任命する形になっている。
近年教勢が伸び悩んでいるカトリック教会は、人口大国中国での信者獲得を念頭に置いてなのか、国交がない上に、公式に無宗教を国是とする中国共産党と合意をした。環境問題や人権問題などの世俗的問題の共同声明なら、あるいはあるかもしれないが、教会の司教選定に共産党政府が干渉することを認めることなどあっていいはずがない。これは“融和”ではなく“妥協”である。
妥協といえば、同日驚くべきニュースが世界を駆け巡った。なんと教皇が、同性愛カップルの法的権利を認めるシビルユニオン法への支持を表明したのだ。もちろん我々キリスト者は、同性愛者に対して、個人の人権と尊厳を認め、神が愛しておられるように彼らを愛するべきだ。しかしシビルユニオン法は、彼ら個人ではなく、彼らの“関係”に対する法的権利と保護を認めるもので、彼ら個々の権利とは分けて考えるべきだ。
真理に背を向けて一致することなどあり得ない。それは融和でも寛容でもなく、妥協に他ならないのだ。昨今、この問題における傾斜が、世俗はもとより、神の教会においてすら激しいのには危惧を覚える。世界で13億人の信者を束ねる教皇の発言はもっと慎重であるべきだ。
カトリック教会が真理に堅く立ち、聖書的信仰に立ち返るように祈っていただきたい。
■ バチカン市国の宗教人口
定住者819人 カトリック100%