バチカン(ローマ教皇庁)と中国は22日、司教任命をめぐる暫定合意について、2年延長すると発表した。バチカン広報局は、2年前に締結したこの合意について「有益」だったとし、延長は「開かれた建設的な対話の継続を意図するもの」としている。
公営のバチカン・ニュース(日本語版)は同日、合意延長に関するバチカン広報局の声明を掲載。声明は「教皇庁は、教会的・司牧的に本質的価値を持つ同合意のスタートが、双方の良いコミュニケーションと協力のおかげをもって、取り決め事項において有益であったと判断し、カトリック教会の活動と中国国民の善のために、開かれた建設的な対話の継続を意図するものである」と延長の理由を説明している。
バチカン・ニュースはこの他、合意延長に関して詳細を報じたバチカン紙「オッセルバトーレ・ロマーノ」の報道も紹介。それによると、合意延長は双方がさまざまな側面を検証した上で「口頭の通達の公式交換」によって決められた。また合意の主な目的は、中国において「教会の完全で目に見える一致」を築き、「福音の告知を支え促す」ことにあるとし、司教任命と司教・教皇間の一致の問題は「地方または普遍の教会の活動にとって、本質的な重要性を持つものである」と伝えたという。
バチカン・中国間の暫定合意は、2年前の2018年9月22日に締結され、その1カ月に発効した。内容は非公表だが、中国側が司教の候補を選出し、教皇が任命するものと考えられている。
バチカンと中国は1951年から断交しており、中国には政府公認のカトリック教会である「中国天主教愛国会」と、教皇が任命した司教による政府非公認の「地下教会」が存在する。
合意後の18年12月には、中国が単独で任命していた7人の政府系司教を教皇フランシスコが追認することで、「地下教会」の一部の教区が「中国天主教愛国会」の教区に一本化されるなどした。また昨年8月には、合意後初となる司教2人が任命されている。
合意の延長については、中国も同日発表した。NHKによると、中国外務省の趙立堅(ちょう・りつけん)報道官は記者会見で、「双方は引き続き密接な意思疎通と協議を続け、関係改善を図っていく」と述べた。