カトリック東京大司教区は6日、ローマ教皇フランシスコが同性カップルにも婚姻に準じた法的権利を与える「シビルユニオン」を認めるべきだとする考えを示したことについて、「性的指向・性自認の如何を問わず、すべての人が差別されることなく尊厳が守られなくてはならないとする教皇の姿勢の表れ」とする一方、男女による結婚を前提とした「婚姻の秘跡」の教義に変更はないとする見解を公式サイトで発表した。
教皇の発言は10月下旬、ローマ国際映画祭でプレミア上映されたドキュメンタリー映画「フランシスコ」の中で語られたものとされている。菊地功大司教は、映画を見ていない段階で発言の内容を確実に知ることはできないとしながらも、「報道された断片的な言葉によれば、教皇フランシスコは、何人も性的指向・性自認の如何によって、家族から排除されてはならないことを指摘しています」と述べた。
その上で、「2013年の教皇就任以来繰り返し強調されてきた、いつくしみ深い教会、だれひとり排除されない教会、隅に追いやられた人のもとへ出向いていく教会などという教皇の考えと一貫性のある発言であり、すべてのいのちを守るためという呼びかけを具体化するもの」との認識を示した。
一方、発言は「婚姻の秘跡」の教義に関して述べたものではなく、「『婚姻の秘跡』に関するカトリック教会の教義に変更はありません」と指摘。同性同士の結合を結婚と同程度のものと見なすのは適切ではないとする見解が書かれた使徒的勧告『愛のよろこび』(2016年)の251番を参照箇所として示している。
その上で菊地大司教は、「神のいつくしみそのものである主イエスに倣う教会は、神からの賜物であるいのちが、その尊厳を守られ、だれひとりとして排除されることのない社会が実現するために、常にいつくしみを提供する野戦病院である事を目指し、特に社会的に弱い立場にある人たちと歩みを共にしていきます」と述べた。