酒・大麻はOKだが礼拝はNGの不平等
福音派ネットワーク「ゴスペルコアリション」の編集主任で、サウスランズ教会(カリフォルニア州ブレア)の長老でもあるブレット・マクラッケン氏は5月22日、論説「なぜわれわれは教会を『必須』だと見なさないのか」(英語)を発表。州政府のガイドラインを尊重し、教会の活動再開については慎重に考えているとしつつも、「非必須」という言葉を安易に教会にあてがうことで、教会の社会的地位がどれほど低下するのかを検討する価値はあると述べた。
マクラッケン氏は、教会が活動再開計画のステージ3に分類されたことを嘆き、次のように語った。
それは、集会が引き起こす高いリスクについて反論しているからではなく、教会に通うことの優先順位が現代の西洋文化の中でどれほど低くなってしまったのかを浮き彫りにしたからです。カリフォルニア州では、教会はネイルサロンやジム、映画館などの『あれば便利だがなくても支障のない』ぜいたくと同じ活動再開カテゴリーに入れられました。教会なしでも長期間生活できるとされているのです。教会はエンターテイメントの一つと一緒くたに扱われているのです。そういうのが好きな人にとってはよいが、人類と社会の繁栄のためには決して必須ではなく、もちろんのそのために衛生上のリスクを負う価値は教会にはないというのです。
マクラッケン氏はまた、「私たちの社会は決定を下したのです。酒屋、大麻販売店、ゴルフコースなどの『必須なもの』なしに私たちは生きていけないが、教会で実際に集まることなしでも生きていくことはできると」と続け、この論説が発表される2日前に報じられた、「医療用」マリファナ(大麻)販売所をロサンゼルス当局が「必須」としたとするCNNの報道(英語)を引用した。
日本では「極めて有害な薬物」として法律で使用が禁止されている大麻だが、同州では2018年に、成人によるマリファナの嗜好品としての使用が合法化されている。アルコールやタバコなどのように販売免許を得ており、大麻税を収めていれば、誰もが販売可能となっている。一方、同州のハリスブリッケン法律事務所(英語)によると、医療用のマリファナであっても、嗜好品として利用する抜け穴が指摘されており、医療用に限って販売を許可するのはザル法に近いという。
BLM抗議集会と教会で違う二重基準
そのような中、ミネソタ州ミネアポリスで25日、黒人男性のジョージ・フロイドさんが白人警官に殺害される事件が発生。その動画が拡散して全米で抗議運動が起こり、カリフォルニア州でもロサンゼルスで27日から始まった。ABC(英語)によると、500人から1000人がこれに参加。警察車両の窓を割るなどの暴力行為にも発展した。その後も州内の各地で、500人程度の規模のものから1万人を超える規模のものまで、断続的に抗議集会が行われ、多くは教会の礼拝参加者制限人数を超えるものがほとんどだった。
このような抗議集会が継続して行われる中、同州ロサンゼルス郡保健局のバーバラ・フェラー局長は7月1日の記者会見(英語)で、当局が抗議集会の感染リスクを過小評価しているのではないかとの質問に回答。「多数の人々が長時間密接した状態でいる場合は、感染が拡大するのははっきり分かっています。ですから、抗議集会に参加している人が感染していなかったなどとは絶対に言っていません」と語った。しかし当局は、抗議集会の中止を強制する措置は取らなかったという。
感染リスクを認めたにもかかわらず、当局が抗議集会を黙認する中、ロサンゼルス市警ホーレンベック地区のリック・スタービレ分署長は2日、自身のツイッター(英語)に、この日開催されたBLM運動の抗議集会の写真と共に、「平和的抗議集会を監視しています。ソーシャルディスタンスを厳守してください」と投稿した。しかし写真に写った群衆は当局が指定する1・8メートルの距離をまったく守っておらず、教会に対する強行的な姿勢とまったく異なることから批判が殺到した。FR24ニュース(英語)によると、ロサンゼルスのエリック・ガーセッティ市長は3日、抗議集会と新型コロナ感染者の増加の因果関係を認めた。
感染拡大を受けて州公衆衛生局は13日、新たな命令(英語)を発表。命令には、ジム・フィットネスセンター、礼拝所、抗議集会、必須でないインフラの事業所、ネイルサロン・マッサージ店・タトゥー店などの個人ケアを提供するサービス、ヘアサロンと床屋、ショッピングモールの屋内での営業停止が盛り込まれていた。この命令には営業再開期日が指定されておらず、教会にとっては無期限の屋内集会禁止命令となった。しかし、BLMの抗議集会はその後も続いた。ロサンゼルス・タイムズ(英語)によると、21日には数百人がサンフランシスコで抗議集会を開いたほか、複数の集会が行われた。