ナイジェリア北東部ボルノ州で9日朝、イスラム過激派「ボコ・ハラム」とみられる武装集団が村を襲い、少なくとも81人が死亡、村長を含む7人が拉致される事件があった。
ボルノ州政府の声明(英語)によると、襲撃されたのは同州グビオの中心部から北に約35キロのところに位置するファドゥマコロンディ村。遊牧民で構成された村で、生存者によると、81人が死亡、13人が負傷、7人が拉致された。
襲撃を逃れた村の男性によると、武装集団は9日午前10時ごろ、銃を積んだトラックや武装した装甲車で村にやって来て、午後4時ごろまでの約6時間にわたり、襲撃を行った。
男性によると、武装集団は初め、住民らに宗教的な説教をすると言い、持っている武器をすべて差し出すよう指示。住民が武器をすべて差し出すと、突然、女性や子どもにかかわらず発砲し始めた。多くの住民は至近距離で撃たれ、逃げようとした住民も多くが銃殺された。
犠牲になった81人のうち、49人はその日の夜から翌日朝の6時ごろまで、一晩かけて埋葬され、32人は近隣の村に住む親族に引き取られた。武装集団は畜牛400頭も持ち去ったという。
ボルノ州のババガナ・ウマラ・ズルム知事は事件翌日の10日、襲撃されたファドゥマコロンディ村を視察。襲撃を「野蛮」な行為だと非難し、「この虐殺を止める唯一の方法は、武装勢力をこのチャド湖畔から一掃することだ。そのためには、地域一体となった取り組みが必要だ」と語った。
ボコ・ハラムはここ数年、ナイジェリアやニジェール、チャド、カメルーンなど、西アフリカでテロ活動を展開しているイスラム過激派。2014年にはボルノ州チボクの学校を襲撃し、女子生徒ら276人を拉致。一部は解放されたが、多くがイスラム教に強制的に改宗され、戦闘員と結婚させられたり、自爆テロを強要されたりしていると伝えられている。