イスラム過激派組織「ボコ・ハラム」が、ナイジェリアでキリスト教徒の援助隊員の男性2人を処刑する様子を撮影した動画を公開した。迫害関連情報サイト「モーニング・スター・ニュース」(英語)が、情報筋の話として、動画の一部の画像と共に伝えた。
モーニング・スター・ニュースによると、動画は動画共有サイト「ユーチューブ」に一時的に投稿され、過激派組織「イスラム国」(IS)が運営するとされる「アマク通信」のサイトで9月22日に公開された。ボコ・ハラムはISに忠誠を示し、現在はISの「西アフリカ州」として活動している。
動画に映っていた援助隊員2人は、ナイジェリア中東部プラトー州にあるキリスト教会「チャーチ・オブ・クライスト・イン・ネイションズ」(COCIN)のメンバーであるローレンス・ドゥナ・ダシギールさんと、ゴッドフリー・アリ・シカガムさん。動画には、武装して顔をマスクで隠した男3人が、ひざまずく2人を背後から銃殺する光景が映っていた。殺害された2人は、同国北東部の都市マイドゥグリで、ボコ・ハラムにより避難を余儀なくされた人々のために避難所を建設する支援をしていた。
武装した3人のうち、中央の男は、ナイジェリアなどで用いられているハウサ語で話し、同国における過去の宗教紛争で殺害されたイスラム教徒の報復として、キリスト教徒の捕虜を全員殺害すると動画で宣言した。
プラトー州の都市ジョスでは2001年と08年、民族や宗教の違いにより住民の間に緊張が生じ、イスラム教徒とキリスト教徒の間で大規模な衝突が起こった。
2人の男性がいつ処刑されたかは、動画からは分からない。2人の身元は、COCINの牧師で、2人の親戚でもあるジョン・ポフィ氏が確認した。
ポフィ氏は、モーニング・スター・ニュースに次のように語った。
「ローレンスとゴッドフリーはナイジェリアの首都アブジャを離れ、マイドゥグリに向かいました。2人は社会の向上のために、自分たちのスキルを活用する機会を求めて命をささげたのです。2人の遺体を取り戻して、埋葬することはないでしょう。おぞましいやり方で命を奪われた2人の若者のために、地域の住民は当座しのぎの記念碑で間に合わせなければなりません」
ポフィー氏はまた、過激派組織をめぐるナイジェリア政府の対応にも批判の矛先を向けた。
「私たちは自問しなければなりません。こんな国が自分たちの望む国なのかと。誠実に働いて生計を立てる若者が残虐に殺され、その一方で、他人を拉致して殺す者たちが政府との対話に招かれ、手厚い見返りを受けられる国でいいのかと」
迫害監視団体「米国オープン・ドアーズ」は、キリスト教徒に対する迫害のひどい国をまとめた「ワールド・ウォッチ・リスト2019」で、ナイジェリアを迫害がひどい12番目の国に位置付けている。