米国の聖書出版社によると、聖書の売り上げがここ最近、増加しているという。新型コロナウイルスの感染拡大の影響とみられている。
キリスト書籍の他に、さまざまなタイプの聖書を出版している米ティンダルハウス出版(イリノイ州)は、今年3月の聖書の売り上げが昨年3月と比べて大幅に増加したことを明らかにした。同社幹部のジム・ジュエル氏によると、同社の人気スタディバイブル「ライフアプリケーション・スタディバイブル」(英語)は44パーセント、全6巻の聖書シリーズ「イマース・バイブル」(英語)は60パーセント売り上げが増加したという。
ジュエル氏はクリスチャンポストの取材に、新型コロナウイルスの感染拡大が「ほぼすべての人の生活を何らかの形で狂わせた」と考えていると語った。「困難や不安な時に、人々が聖書の慰めや明快さに目を向けても不思議ではありません」とジュエル氏は話し、同社のソーシャルメディアも活発化していると続けた。
「私たちは、ニュー・リビング訳(NLT)聖書のフェイスブックページに聖句を投稿していますが、エンゲージメント(投稿がクリックされたりシェアされたりする数)が昨年3月に比べて3倍も増え、前月(今年2月)に比べても72パーセント増加しました」
国家的危機で聖書の売り上げが増加するのは、これが初めてではないとジュエル氏は指摘する。米同時多発テロが発生した2001年9月11日の翌10月には、同社で出版する聖書の売り上げが前年同月に比べ、57パーセント増加したという。
視覚的芸術性を特徴とした聖書の各巻を個別に販売するアラバスター社(カリフォルニア)は、売り上げが昨年に比べ143パーセント増加した。
2017年に同社を創業した共同創業者のブライアン・チャン氏は、売り上げが急増した理由は「人々が希望と回復を求めているため」だと、米フォックス・ニュース(英語)に語った。
「苦しみや経済的困難の中にあってさえも、人々はわが社の無料リソースを活用したり、大切な人に贈り物として聖書を購入したりするなどして、弊社を利用されています」
「人々が聖書を購入するのは、神とつながり、人生の意味を見つけ、平安を体験したいと切望するからだと私たちは考えています」
新型コロナウイルスの感染が拡大する中、人々が霊的な答えを見いだそうとしていることを示すものは、聖書の売り上げ増加以外にもある。
コペンハーゲン大学(オランダ)のジャネット・シンディング・ベンゼン准教授によると、インターネット上では「祈り」という言葉の検索が3月から劇増しているという。
「危機の時、われわれは祈る:宗教性と新型コロナウイルス・パンデミック」と題した論文を発表したベンゼン氏は、「新型コロナウイルスの症例が(世界で)8万件増えるごとに、祈りに関する検索強度が倍増している」ことを発見したという。(関連記事:新型コロナで祈る人増加、米ではクリスチャンの7割超が収束のために祈り)
「危機の時、人類はストレスの緩和やその解釈を求めて、宗教に立ち戻る傾向にありますが、今年の新型コロナウイルスのパンデミックも例外ではありません」
「グーグル上での祈りに関する検索数が、新型コロナウイルスが世界的に広がった2020年3月に急増したことを報告します」
「(「祈り」という言葉の検索数が)グーグルで利用可能な過去5年間の比較検索データにおいて最高レベルとなり、クリスマスやイースター、ラマダンなどの主要な(宗教的)行事をすべて上回りました」
ベンゼン氏は論文でそう述べた上、「世界で最も非宗教的な国の1つであるデンマークでさえ、祈りに関するインターネット検索数が系統的に増加しています」と続けた。