2つのキリスト教調査機関によると、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、米国の教会では、93パーセントが礼拝をオンラインのみで行っていることが分かった。大多数の教会がイースターも同様にオンラインで祝う見込みだ。
米ライフウェイリサーチの調査(英語)によると、3月の第1日曜日である3月1日時点では、99パーセントの教会が会堂で礼拝を行っていたが、第5日曜日の3月29日時点では7パーセントにまで激減した。
ライフウェイリサーチのスコット・マコーネル所長は次のように述べている。
「地元の教会で礼拝を行うことはキリストの御体の基本的な行為ですが、命を重んじ、他者を愛することも同様です。(新型コロナウイルスの)緩和策ガイダンスがまず初めに大きな教会に影響を与えたことで、礼拝出席者が200人を超える教会の大多数は、3月15日までには集会を取りやめていました。さらにガイダンスが変更されたことで、3月22日時点で集会を行っていた(200人以上が礼拝に参加する)教会はわずか1パーセントとなりました」
また、米バーナグループの調査(英語)によると、今週末にイースターを迎えるに当たり、58パーセントの牧師はデジタル形式の礼拝を行う予定だと回答した。そのうち、45パーセントは礼拝をインターネットでライブ配信する計画で、13パーセントはイースターの説教を録音して会衆に送信するとしている。
一方、20パーセントの牧師は調査が行われた時点(3月24~30日)で、まだ計画を立てていないと回答。10パーセントは屋外で礼拝を行い、5パーセントは別のユニークな方法で集会を行いたいとし、2パーセントは今回も通常通りに集会を行うと回答した。また、5パーセントは当面イースター礼拝を延期する予定だという。
米大型教会「ライフチャーチ」の牧師で、世界最大の聖書アプリ「ユーバージョン」の開発者でもあるボビー・グルーネワルド氏は、バーナグループが新型コロナウイルスを受けて作成した教会向けサービス「チャーチ・パルス・ウイークリー」の放送で次のように話した。
「牧師であるあなたが何らかの方法で(イースター・メッセージを)語ったり、伝えたりするのであれば、最善を尽くして牧師らしさをメッセージに込めることが重要だと思います。そして、ある程度のレベルで(メッセージだけでなく賛美などの)礼拝(的要素)も組み込むことがきたら素晴らしいです。建物の中で行ってきたのと同じタイプのイースターである必要はありません。今は誰もが比較的寛容になっていますから、私だったらどのような形であれ、イースター向けに作成するものの中にある程度の礼拝的な側面を組み込むでしょう」
グルーネワルド氏は、小規模な教会に対しても「何らかの動画を作成する」よう勧めた。時間さえあれば、スマートフォンでも優れた動画を録画できるからだ。
ライブ配信をしたことのない教会は、今、そのための整えを受けている。
米国のプロテスタント教会の41パーセントは昨年秋の時点で、自教会の信徒に動画コンテンツをまったく提供していなかった。しかし今年3月、教会指導者の92パーセントが説教動画やオンライン礼拝を利用可能にしていることがライフウェイリサーチの調査で分かった。
「動画コンテンツの急速な普及は、直接参加型の集会の中止と同じくらい突発的です」とマコーネル氏は語った。「ストリーミングや動画の提供を考えもしなかった教会が、瞬く間にそれを実行しました。そういった教会の牧師たちはこの試練の中、オンラインで信徒とつながったり、オンラインで霊的指導を与えたりせざるを得ませんでした」
信徒たちも、この危機に対応して必要な人々に助けの手を差し伸べている。
ライフウェイリサーチの調査によると、具体的な必要のために信者たちが互いに助け合っていると、牧師の87パーセントが証言している。また、新型コロナウイルス関連で信徒たちが近隣住民の必要を満たすのを牧師の59パーセントが目撃している。そして、この状況の中で少なくとも信徒の一人が誰かに福音を伝えることができたと、牧師の半数以上が話している。
一方、新型コロナウイルスによる規制は、信徒たちの収入にも影を落としている。その結果、献金額が減少したことを牧師の半数が認めている。しかしこれは、多くの教会がオンライン献金をためらっていることにも一因があるとみられている。
米ジョンズ・ホプキンス大学によると、11日までに、新型コロナウイルスの感染者は世界で約170万人まで増え、死者は10万人を超えた。このうち、米国の感染者は約50万人で、死者は約9千人に上っている。