米国のワシントン大聖堂が3月25日、医療現場などで使われる高機能のN95マスク5千枚を、首都ワシントンと近郊の医療施設2カ所に寄付したことを明らかにした。
同大聖堂が寄付したのは、米労働安全衛生研究所(NIOSH)認定のN95マスクで、ワシントンの国立小児病院に2千枚、近郊のジョージタウン大学病院に3千枚を送ったという。
フェイスブックに投稿された声明(英語)によると、N95マスクは数年前、健康被害に備えて保管されていたが、最近、大聖堂の保管庫で発見されたという。
「マスクは以前の健康被害対策で大聖堂の地下室に保管されましたが、そのまま忘れられていました。米疾病管理予防センター(CDC)の現在のガイドラインおよびマスクの製造元によると、マスクは開封されていないため、現在も良好な状態であることが確認されました。今回の寄付が、マスクを必要とする方々を保護する小さな一歩となることを願っています」
同大聖堂のランドルフ・マーシャル・ホレリス首席司祭は声明(英語)で、今回の寄付は、同大聖堂が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)対策として行っている多くのことの一環だと述べている。
「現在の困難と試練の中にあって、大聖堂のコミュニティーは、新型コロナウイルス・パンデミックの被害から弱者の方々を保護するため、できる限りのことをしています」
「当教会は、オンライン・ストリーミングで礼拝を視聴できるようにするため、礼拝プログラムを大幅に調整してきましたが、この度、こうした追加措置の準備が整いましたので、これまで提供できていなかった保護が数千人の方々に開かれることになりました」
今回の寄付は、米国の多くの医療施設や医療団体が、N95マスクに加え、医療用ガウンやフェイスシールドなどの個人用保護具(PPE)の不足を報告していることを受けたもの。
米公共ラジオ局(NPR、英語)によると、米国では、さまざまな団体・個人からマスクの寄付を募る市民ベースのプロジェクトが幾つも始まり、ソーシャルメディアではハッシュタグ「#GetMePPE」(私のためにPPEを集めて)がトレンド入りするなどしている。
ワシントン大聖堂は、米国聖公会ワシントン教区の主教座聖堂で、歴代大統領の葬儀など、さまざまな国家行事も行われることで知られている。世界でも有数の大きさのゴシック様式の大聖堂で、年間の礼拝参加者・訪問者は40万人を超えるという。