新型コロナウイルスの感染が急激に拡大し厳しい状況にある中、米国のドナルド・トランプ大統領とマイク・ペンス副大統領が20日、約700人の牧師たちと共に電話会議で祈るひとときを持った。
電話会議は、米保守派政治団体「家族研究評議会」(FRC)が主催したもので、約1時間にわたった。FRCの会長で元ルイジアナ州下院議員(共和党)のトニー・パーキンス氏は23日、FRCのサイトに掲載した報告(英語)で、トランプ、ペンスの両氏が参加した経緯を語った。
「副大統領が700人の牧師たちと共にFRCの電話会議に参加することを大統領が知ったとき、大統領は自分も参加していいかと尋ねたそうです。(電話会議の中で)大統領の声が聞こえたときは私もびっくりしましたが、彼が米国の信仰的指導者たちと共に立ち上がることを願う気持ちは自然に聞こえました」
ペンス氏は電話会議の中で、「私が大統領に、皆さんとこれから話をしようとしていると伝えると、彼はその日、特に多忙だったにもかかわらず、私を見つめ、『(参加するために)時間を見つけないといけない。時間を見つける必要がある』と言いました。この電話会議に参加することは、大統領にとって重要であることを意味していました」と語った。
パーキンス氏は、「このようにして、この国で最も重要な2人の指導者が、他のすべてのことを脇に置いて、地域社会を牧会する人々と共に祈りをささげたのでした」と説明した。
トランプ氏は電話会議で、「波乱の世の中だ。ウイルスはいきなりやってきた。われわれは国家として経済的に今までで最もうまくやってきたのに、いきなりこれにぶち当たった。だからこれ(経済的好況)を一旦留めなければいけなかった。このために大きな代償を払った。今までこんなことはなかったが、われわれ(米国)はいつの時代よりも強くなって戻ってくるだろうと私は思う」と述べた。
また、牧師たちに向かってトランプ氏は、「私たちの国のため、そして病を患った人々のために祈ってくれて感謝したい。皆さんは素晴らしい働きをしている。皆さんは非常に励みになる。私は皆さんといつも一緒にいる」と述べた。電話会議を離れる前、パーキンス氏が最も祈ってほしいことは何かを尋ねると、トランプ氏は次のように述べた。
「この国が健やかであることを、そして強くあることを祈ってほしい」
また、「われわれは(経済的に)すごいことをやっていた。だけどそれが一日でだめになった。だからそれ(祈りの課題)はそれだ。また、米国民が(大統領選の選挙日である)11月3日に正しい決断ができるように(祈ってほしい)」と付け加えた。
パーキンス氏がトランプ氏のために祈り終わった後で、トランプ氏は「(君は祈りの中で)スタミナについて言及したね。そうだ。われわれにはスタミナが必要だ。とても感謝する」と述べたという。
ペンス氏は、「大統領と私は、信仰の共同体が身を乗り出して事に当たっている姿を見て本当に励ましを受けた」と述べ、教会がフードバンクの働きを維持し、米疾病予防管理センター(CDC)のガイドラインの範囲内でできる働きを工夫して継続していることに言及した。また、教会がウイルスとの戦いの最前線にいる医療従事者の子どもたちの世話役を買って出ていることについても触れた。しかしこれらすべてに増して、ペンス氏は、米国の教会と協力関係を築くことに重きを置く現政権に身を置けることに非常に感謝していると述べた。
「皆さんも分かっておられると思いますが、大統領が何回も言っていたように、私たちは連邦政府の持てる限りの資源を持ち出して、これ(ウイルスによる被害)に耐えているところです。しかし、皆さんが今日ここに集まってくださったことによって、また新型コロナウイルスに対処するためにそれぞれの属する地域社会で注いだ皆さんの努力と働きによって、皆さんは本当に信仰に立ち、その手を動かしているのです。そのようにして皆さんは、大統領が今日『米国の偉大さ』と呼んだものを体現しているのです。そして、重ねて強調したいのですが、われわれ(政府)は皆さん(キリスト教界)とすべてにおいて協力関係を持ち、最善の方法を共有していけるよう願っています」
ペンス氏は祈りの課題として、大統領であるトランプ氏に助言している政府の各機関の専門家たちのために祈ってほしいと強調したという。また、各州や地方の行政職員、新型コロナウイルスにより困難にある人々や、親しい人を死によって失った人々のことも覚えて祈ってほしいと依頼した。
米CBS(英語)によると、新型コロナウイルスの感染者は29日までに、全米で14万2千人を超え、死者数は2500人を突破している。