新型コロナウイルスの大流行の危機にあっても、普段から礼拝に参加している米国成人の5分の1近くが依然として、直接参加型の礼拝に参加していることが最近の世論調査で分かった。
調査は3月23日から25日に行われ、共に政治学者であるポール・ジュープ(デニソン大学准教授)、ライアン・バージ(イースタン・イリノイ大学助教授)、アンドリュー・ルイス(シンシナティ大学准教授)の3氏が実施した。対象は、礼拝に出席する頻度が「まったくないわけではない」とする米国在住の成人で、1038人が回答。許容誤差は3%。
米ネットメディア「バズフィード・ニュース」(英語)によると、ほとんどの回答者(88%)は、新型コロナウイルスのため「教会が礼拝を中止した」「教会が閉鎖された」と答えた。一方、17%は依然として直接参加型の礼拝に出席したという。
直接参加型の礼拝に今も参加していると答えた17%の一部は、教会外部で行われる小規模なグループの礼拝に参加した可能性があると、ジュープ氏は推測しているが、調査ではこの質問は提示されなかったという。
また回答者の22%が、「ウイルスによる影響があるからこそ」直接参加型の礼拝に出席するよう「奨励」されたことも分かった。
ジュープ氏の報告(英語)によると、この調査ではさまざまな設問があり、中には「礼拝の自由は非常に大切であり、新型コロナウイルスを理由に直接参加型の礼拝を中止することはできない」という見解について賛否を尋ねるものもあった。
この見解に、同意または強く同意すると答えた人は、自身の教会で今も直接参加型の礼拝が行われている場合は48・9%で、中止されている場合は32・5%だった。逆に、同意しない、または強く同意しないと答えた人は、礼拝が行われている場合は18・8%、中止されている場合は50%で、30%以上の開きが見られた。
「牧師は自分の健康に最大限の関心を払っていると心から信じる」については、同意または強く同意すると回答した人は、礼拝が中止されている場合は65・3%、行われている場合は51%だった。いずれも半数を超えるが、礼拝を中止するという目に見える措置を取った方が、14%多くなる結果となった。
「公衆衛生と公同礼拝のジレンマについては考慮すべき側面が幾つかありますが、おそらく最も顕著なものは、社会的善が自らの権利(礼拝する権利)の弊害となる場合です。特に米国人にとっては」とジュープ氏はつづっている。
この数週間、人々が集まる集会がウイルスの拡散につながる恐れがあるため、米国の多くの教会が直接参加型の礼拝を中止し、オンライン礼拝に切り替えた。しかし一部の教会は、パンデミック(世界的大流行)の危機にあっても礼拝を続けるとしている。
一例として、オハイオ州のメガチャーチ「ソリッド・ロック(堅い岩)教会」がある。同教会はインターネット上で多くの批判を受けながらも、直接参加型の礼拝を中止しないと発表した。週末を前にした3月27日のお知らせ(英語)では、次のように述べている。
「当教会では、礼拝出席を求める圧力は誰に対しても一切ありません。当教会は、礼拝に来るかオンラインで見るかを選択する個人の権利をすべての人に尊重しています」
「この国に大きな闘いがあるこの時、礼拝に参加し、祈りに来る人のために、門戸を開いておくことが重要であると当教会は考えています」
オハイオ州のマイク・デワイン知事は、大規模な集会を禁止する行政命令の対象から教会を除外する一方で、パンデミックに対応して教会にも閉鎖を検討するよう求めていた。
「われわれは宗教団体に対して閉鎖を命じませんでしたが、各自に対する私からのメッセージは、状況は深刻だというものです。教会内であろうとどこであろうと、集会を行うなら、それは危険です」と、デワイン氏は3月23日、自身のツイッター(英語)で述べている。
「人は別の方法で礼拝を行う能力を持っています。私は宗教指導者の皆さんにお願いします。ご自身の教会について、よく考えてみてください。集団で集まることは危険です」