ベストセラー『聖書が教える恋愛講座』(原題:I Kissed Dating Goodbye)の著者で、米メリーランド州にあるメガチャーチ「カベナント・ライフ教会」の元主任牧師でもあるジョシュア・ハリス氏(44)が7月26日、自身のインスタグラムに、自身はもはやクリスチャンではないと告白する内容(英語)を投稿した。
この衝撃的な告白の約1週間前、ハリス氏は20年連れ添った妻のシャノンさんと離婚することを発表(英語)。2人は今後、「友人」として3人の子どもを育てていくと明らかにしていた。
ハリス氏はインスタグラムの投稿で、目前に迫る離婚へのコメントに返信すると共に、別の衝撃的な告白を表明。自身は信仰から離れ、もはやクリスチャンとしての認識はないことを明らかにした。また、これまで同性婚を支持しなかったことや、性的少数派の存在を認めなかったことについて謝罪した。
ハリス氏がインスタグラムに投稿した全文(日本語訳)は以下の通り。
私の心は感謝の気持ちでいっぱいです。離婚発表後に私のところに寄せられてきたさまざまなメッセージを皆さんにも見てもらえたらいいのにと思います。メッセージの送り主は悲しんでいたり、離婚は誤りだと強く叱責したりしていますが、どのメッセージにも愛が表れています。
恵みを示さないグループは一つもありません。今週はクリスチャンや無神論者の方々、福音派や元福音派の方々、異性愛の方々や性的少数派の方々、その中間の方々が恵みを示してくださっています。もちろん、宗教的な方々からは手厳しい叱責もありました。すべてが心地よいわけではありませんが、誰もが私を愛そうとしていることを知っています。(ただし、意地が悪く、憎しみに満ちたコメントもあり、私は怒り、傷つきました)
私たちの発表に抜け落ちていたことは、イエスに対する私の信仰に大きな変化があったということです。それは一般的に「脱構築」と呼ばれています。聖書の言葉で表現するなら、「堕落」(へブル6:6、英語訳聖書では「falling away」)です。クリスチャンを定義付けるあらゆる基準に照らすなら、私はクリスチャンではありません。多くの方から、別の仕方で信仰を実践すべきだと言われます。私はそれに心開き続けていたいのですが、もはや私はそのような段階にはいません。
マルティン・ルターは、信者の全生涯は悔い改めであるべきだと言いました。神観のいかんにかかわらず、悔い改めには美しさがあります。私は過去数年間、悔い改めの中で生きてきました。つまり自分の独善的な態度の悔い改めであり、恐怖心に基づいた生き方の悔い改めであり、自分の著書に書いた教えに関する悔い改めであり、キリスト教会における女性観に関する悔い改めであり、子育ての仕方に関する悔い改めなどです。しかし今ここで、特別に付け加えたいことがあります。性的少数派とその共同体の皆さんへ。私の著書や説教の中で、私がセクシュアリティーに関して教えた見解について謝罪したいと思います。同性愛カップルの結婚に反対し、皆さんや皆さんの立場を支持しなかったことを後悔しています。また私の文章や発言で、(性的少数派に対する)排斥や偏見の文化に貢献したことを後悔しています。皆さんが私をお赦(ゆる)しくださることを望みます。
ハリス氏は3年前、1997年に出版した著書『聖書が教える恋愛講座』に記したアドバイスについても謝罪していた。同書はハリス氏が20代の時に執筆した作品で、当時ハリス氏は、自身の信仰的観点からコートシップ(結婚を前提とした交際)を推奨する立場にあり、結婚を前提としないデートはしていなかった。著書の中では、デートについて「離婚の訓練の場」とさえ述べていた。
自身のウェブサイトに掲載した謝罪声明では、「デートは避けるべきだという中心テーマに、私はもはや同意できません」と表明。「デートは個人が人間関係を構築したり、パートナーとして最も重要な資質を学ぶ場で、健康的な一面になり得ると今は考えています」とつづっていた。
そして昨年には、同書を廃刊にすると発表。「『聖書が教える恋愛講座』に見られる欠陥を踏まえ、同書および同書に関連した補足的発行物(同書の後に書いた同様の内容の著書2冊も含まれる)を廃刊にすることが最善だと考えます」と述べていた。
ハリス氏は2004年、30歳で独立系の福音派メガチャーチ「カベナント・ライフ教会」の主任牧師に就任。しかし同教会では14年、元ボランティアが児童に対する性的虐待で有罪となり、ハリス氏は改革派の宣教団体「ザ・ゴスペル・コウアリション」の役職を退任。翌年には、同教会の主任牧師からも退いていた。
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