昨年末に中国四川省の省都・成都で、教会員約100人と共に拘束された牧師の妻が、約6カ月ぶりに解放された。
拘束の身から解かれたのは、成都にあるプロテスタント政府非公認教会「秋雨聖約教会」の王怡(ワン・イー)牧師の妻である蒋蓉(ジャン・ロング)さん。同教会のフェイスブック(英語・中国語)によると、蒋さんは6月11日に保釈された。しかし同19日現在、蒋さんは兄弟の家に滞在することが許可されているものの、当局の監視下にあり、近親者以外は面会ができない状況だという。この他、教会員の夫妻1組も保釈され、同14日には同教会の執事1人も保釈された。
王牧師と蒋さんは昨年12月9日、100人余りの教会員と共に拘束された。同16日にはさらに別の教会員約60人も拘束されたと伝えられている(関連記事:100人拘束の中国非公認教会、新たに60人拘束 会堂閉鎖で野外礼拝中)。これらの教会員の多くは短期間で釈放されたが、王牧師と数人の教会員らは現在も拘束されている。
キリスト教迫害監視団体「世界キリスト教連帯」(CSW、英語)によると、王牧師と蒋さんには「国家政権転覆扇動罪」の容疑がかけられており、教会員は警察や家主らによる嫌がらせを受けている。
中国では昨年2月、改正宗教事務条例が施行され、その結果、政府非公認教会に対する締め付けが強化され、教会閉鎖や、牧師や信徒に対する当局による嫌がらせが続いている。
同時に、政府公認教会も宗教団体に対する取り締まりを受けており、十字架など宗教的なシンボルが取り除かれたり、子ども向けの活動を中止することを余儀なくされたりする教会もあるという。また一部の地域では、教会堂が取り壊されている。
CSWのマービン・トーマス代表は中国当局に対し、秋雨聖約教会の教会員らに対する容疑をすべて取り下げるよう求めている。
「蒋さんが保釈されて息子さんと再会したという知らせを、私たちは歓迎しています。しかし、6カ月間にわたる蒋さんの勾留や、その罪状については強く非難します。罪状にはまったく根拠がありません」とトーマス氏は指摘する。
「蒋さんは半年間も恣意的に自由を奪われ、息子さんと引き離されました。私たちは中国当局に対し、蒋さんに対するすべての罪状を棄却し、今も勾留中の秋雨聖約教会の全教会員を無条件で直ちに釈放することを要求します。また、同教会に対するあらゆる形態の嫌がらせをやめるよう要求します」