中国がアフリカに巨額の経済投資を行い、インフラ構築を進める一方、アフリカの教会は現地の中国人に福音を伝えている。
米ジョンズ・ホプキンス大学と米コンサルティング大手のマッキンゼー・アンド・カンパニーによる調査(英語)によると、中国・アフリカ間の貿易額は2014年に最高値に到達。中国政府や中国系の銀行、企業による対アフリカ融資は、2000〜17年で約15兆円に上り、直接投資と共に近年、大幅に増大している。
中国系資産と約1万社に上る中国政府系企業の流入の結果、アフリカでは22万7千人から100万人と推定される中国人労働者が働いている。そして彼らは、アフリカのクリスチャンたちから福音を聞いている。
米ボストン大学教養学部で講師を務めるクリストファー・ロデス氏は13日、英文サイト「アンハード」(英語)に「アフリカはどのように中国を変えているか」と題した寄稿文を掲載した。ロデス氏はその中で次のように報告している。
「アフリカの多くの地域教会は、公共事業に投入された中国人官僚や中国人労働者に伝道している。その結果、多くの中国人は、現地教会が提供するコミュニティー意識や帰属意識を歓迎している。また、台湾などから遣わされた華僑系宣教師が少人数ながらも増加しており、アフリカで働く中国人に焦点を定めている。宣教師たちは、中国本土では決して許されない自由の中で宣教している」
中国人がアフリカで福音と出会うことは、中国政府にとって脅威となっている。中国政府には、共産党の独裁者毛沢東の下でキリスト教徒を無残に迫害してきた長い歴史がある。こうした共産党政府による迫害は今も続いており、中国の教会は弾圧されている。複数の教会が爆破され、多くの信者が逮捕されている。宗教に対する中国政府の敵意は、キリスト教ばかりに向けられているわけではない。イスラム教徒の少数民族ウイグル族も中国政府による弾圧を受けている。
しかし一部の調査によると、中国政府の締め付けをよそに、中国では人口の4分の1から半数近くが何らかの宗教を信じているという。そして、アフリカで福音を信じた中国人労働者たちは、帰国とともに自分たちの新しい信仰を母国に持ち込むことになる。
「例えば、福建省の沿岸地域を訪れると、南アフリカなまりの英語が聞かれ、十字架が掲げられた民家を目にする。また、アフリカ人も移民として大量に中国に移住しており、その多くはペンテコステ派的な伝道スタイルを熱心に実践している。彼らは、宗教活動に課された中国の規則を意図的に無視している」とロデス氏は言う。
「中国はキリスト教との戦いに力の限りを尽くしているにもかかわらず、敗れつつあり、アフリカから帰国する人々が増えることで、その戦いを絶望的なものにしつつある」
米国務省の数字が正しければ、中国のキリスト教人口は7千万人に上る。現在の急激な成長が続けば、中国は間もなく世界一のキリスト教国になる。
中国政府は近年、キリスト教に対する弾圧を強化しており、中国東部では教会から1700本余りの十字架が強制撤去される出来事があったが、この弾圧を指示したと考えられている官僚を中国政府は昨年、昇進させた。
中国の迫害情報を伝える米キリスト教団体「チャイナエイド」の創設者、ボブ・フー氏は、クリスチャンポストとの以前のインタビューで次のように述べている。
「中国の最高指導部はキリスト教の急成長や存在感、またその社会的影響力に懸念を強めています。中国のキリスト教人口が共産党員の数をはるかに上回っていることは、共産党にとって政治的な恐怖なのです」