キリスト教葬儀における賛美の力
キリスト教の歴史の中で、神様への賛美は、いつも重要な役割を担ってきた。教会の集まりでは、ピアノやオルガンなどの演奏に合わせ、共に賛美歌を歌うことが多い。さまざまな様式の音楽が用いられるが、心からの賛美は、どれも多くの人を励ます力がある。
キリスト教式の葬儀における賛美は、さらに重要な役割を担っている。特に、慰めに満ちた賛美の歌は、故人を失った悲しみの中にある参列者の心に、深く染み渡ってくる。
昨年、美しい歌声を持っておられた女性が召された。召される前には、弱さを抱え、しゃべることさえできなくなっていたが、生前に訪問した際、お元気なころの歌声を収録したCDを、ご家族が聴かせてくださった。
かなり高齢になってから収録したと伺ったが、明るく美しい歌声に、優しい人柄が表れていた。その音色に促されるように、ご家族がエンディングに寄り添っておられた。
葬儀では、ご本人のCDがBGMとして用いられたほか、クリスチャンシンガーに参加してもらい、賛美リードをお願いした。賛美の調べが天国への希望を格別に大きなものにしているようだった。
共に賛美する参列者が遺族を支える
また、先日の葬儀では、喪主のご主人が、召された奥様の愛用していた楽器を用いて、賛美歌を歌ってくださった。涙を誘う場面ではあったが、共に演奏する友人や、声を合わせる参列者の歌声がご主人を支えていた。
天国を想い描く美しい音楽の調べは、聖書に基づく祈りの言葉とも見事に調和する。牧師が導く祈りと賛美の音色は、一つとなって私たちの心を天国に向け、悲しみの中にある遺族を慰める。
仏式葬儀との大きな違い
通常、私たちが行う葬儀式は、教会に集っておられない方からの依頼によるので、教会堂で行うことはほとんどなく、一般の葬儀会場で行われる。
さまざまな葬儀会場があるが、隣の会場で仏式葬儀が執り行われている場に遭遇することがよくある。仏式葬儀の場で流れる読経の内容は、釈迦の教えや行動規範が中心となっていて、天来の恵みにあふれたキリスト教の賛美とは性格が異なっている。
当然、その場の雰囲気も音楽の音色も随分と異なってくる。故人の死を通して、天国を想い描きたい遺族にとっては、キリスト教葬儀の方がよほどふさわしいだろう。もし、先祖から受け継がれた宗教にとらわれることなく、自由に選べるなら、ほとんどの人がキリスト教葬儀を選ぶように思う。
生前にキリスト教葬儀を選んでほしい
江戸時代の檀家制度によって決められた各家庭に受け継がれる仏教宗派は、もう400年もの歴史の中で、家族、親族の葬儀文化として定着してきた。しかし、その仏教葬儀文化が、高齢化、核家族化の進む中で、徐々に崩壊してきている。
多くの人が自らのエンディングの形を模索する時代になってきたともいえるだろう。その中で、キリスト教葬儀を選ぶ人も少しずつ増えてきている。
この機会に、多くの日本人に、美しい賛美にあふれたキリスト教葬儀を体験してもらいたいものである。そして、自分の葬儀や大切な家族の葬儀として選んでいただきたいものである。
天国へのハーモニー・賛美にあふれるキリスト教式模擬葬儀
今回、クリスチャンの音楽家と牧師によるキリスト教式模擬葬儀を、全国で展開し、多くの皆さんに、その圧倒的な素晴らしさを味わっていただきたいと考えている。
仏教葬儀文化を長年受け継いできた日本人に向け、新しい葬儀文化を提案する試みを、全国の教会の皆さんと共に展開したいものである。
■ 天国へのハーモニー ソプラノコンサートとキリスト教模擬葬儀
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